企業による気候関連情報の開示の在り方が、これまでの任意の情報開示から規制主導型への転換期を迎えています。具体的には、従来の規制要件の多くが、グローバル市場の変革に伴う市場のニーズに応えようと強化されています。
また、新たな規制が世界中で導入される動きも広がっています。こうした状況に企業が対応していくためには、各規制の対象となる企業の条件や開示すべき情報、そして開示時期や開示先について適切に把握する必要があります。
新たな規制にかかる今後の展望は見えつつありますが、まだ完全には明らかになってはいません。これらの新基準や要件は、従来の規制を基に整備が進められています。そのため、企業に求められる対応がこれまでと大幅に変わる可能性は低いです。新基準の最終確定はまだ先ですが、それまでに企業として対応できることを進めておくと有意義でしょう。
本シリーズ記事では、これらの新たな規制の具体的な内容やそれらのグローバル市場への影響について詳しく解説します。初回となる今回は、現在の状況に至った要因とその背景を中心に全体像を概説します。
現在の企業への気候関連情報の開示要求の高まりは、過去20年間で増えてきた、さまざまな市場圧力の結果だと言えます。企業は投資家、従業員、顧客、そして規制当局など、各方面から自社の気候変動対策の詳細が求められるようになりました。
その結果、多くの企業は気候関連情報の開示への対応のみならず、削減にも真剣に取り組んでいることを市場に示すため、野心的な脱炭素目標も掲げています。他方、情報開示に対する企業への圧力の高まりと併せて、世界中で自主的な報告基準やフレームワークが乱立し、複雑さが増していきました。そのため、多くの企業では異なるステークホルダーから異なる報告フレームワークのもと、多岐にわたる情報開示を求められる状況が続いていました。
一方、投資家目線では、開示情報の進捗管理や報告に関する共通の基準が存在しなかったことから十分な(企業の気候関連)情報を入手できない上、企業側は非効率的な報告業務の対応を迫られていました。このような情報へのニーズや開示の効率化について、世界中の市場関係者や企業からの要請により、グローバルでの対応が必要となっています。
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