値上げラッシュでもなぜ「値下げ」? 幸楽苑・ガスト・なか卯、それぞれの戦略(2/4 ページ)

» 2023年12月21日 05時10分 公開
[山口伸ITmedia]

メニュー改定やセットメニューで大胆な値下げに踏み切った幸楽苑

 東北や北関東を地盤とするラーメンチェーン「幸楽苑」は、10月のメニュー改定で値下げを行った。11品目を対象に20〜70円の値下げを実施しており、その他商品については価格を据え置いている。

みそバターコーンらーめん・しおバターコーンらーめんはそれぞれ760円から70円値下げし、690円となった。画像はみそバターコーンらーめん(出所:幸楽苑公式Webサイト)

 中身を見ていくと、大きなチャーシューが乗った「プレミアム醤油・プレミアム味噌・プレミアム塩」の3商品は830円から760円へと70円の値下げ。「みそバターコーンらーめん」「しおバターコーンらーめん」も760円から690円へ同じく70円の値下げとなった。好きなラーメンとギョーザ、チャーシュー丼などを合わせられる新規セットメニューは実質70〜150円の値下げとなる価格設定を打ち出した。

プレミアム醤油・味噌・塩も70円の値下げとなり、830円から760円となった。画像はプレミアム醤油(同前)

 幸楽苑は期間限定のキャンペーンでも大幅な値下げを実施していた。9月実施の創業祭に続く第2弾のキャンペーンでは11月1〜10日に、午後3時以降限定で「ディナーセット」を特別価格にて提供。A・B・C・Dの4セットがあり、チャーハンとダブルサイズの餃子、スープなどがついたBセットの特別価格は590円と、単品で頼むより450円もお得になっている。4セットでは、それぞれ400〜520円の実質値下げとなった。

ラーメンメニューに適用できるセットでは、最大で150円の実質値下げ。中華そばとギョーザのセットでは、それぞれを単品で頼むより80円安くなる。画像は550円の中華そば・餃子セット(同前)

 しかし、ゼンショーHDと違って幸楽苑の値下げは苦肉の策といえそうだ。コロナ禍以前から不採算店の閉鎖を決め、規模縮小が既定路線だった幸楽苑HDの業績は年々悪化していた。19年3月期から23年3月期の業績は次の通りである。

売上高:約412億円→約382億円→約265億円→約250億円→約254億円

営業利益:約16億円→約6億円→約▲17億円→約▲20億円→約▲16億円

店舗数:533→482→454→440→431


 今期の売上高は約265億円を予想し、営業利益も薄利だが約5000万円と黒字化を見込む。そうした中での値下げは、ギリギリの判断だったとうかがえる。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.