スマホで撮影できるのに、なぜ「プリクラ」文化は続いているのか誕生してから28年(2/5 ページ)

» 2023年12月24日 08時30分 公開
[小林香織ITmedia]

美白→デカ目→ナチュラルとトレンドが変化

 95年に誕生したプリントシール機は、その翌年にブレイクすると、カプコン、コナミ、ナムコなど数十社が参入。オムロン(現フリュー社)もその1社で、独自戦略としてユーザーの似顔絵を作成する「似顔絵シール機」で市場参入した。

 「当社はマネジメントバイアウトにより、2007年にオムロンから独立してフリューとなりました。オムロンが開発した顔認識技術を生かした似顔絵シール機を97年に発売しましたが、支持を得られず……。98年からプリントシール機を売り出しました」(フリュー広報部 門脇彩氏)

99年にオムロン(現フリュー社)が発売した「ハイキーショット」は多段階の美白調整機能を備えていた(出典:フリュー社、以下同)

 日本アミューズメントマシン協会(JAMMA)によれば、98年にはプリントシール機市場が半分に落ち込むも、00年代ごろから再び拡大する。「美白」や「美肌」など時代のトレンドを反映した機種が99年ごろから発売され、若年女性から「キレイに映る」と支持を得たためだ。

07年ごろから目元を加工するなど、「盛り」の機能が充実し始めた

 02年ごろから再び市場が縮小するも機能はどんどん向上していった。フリュー社では、07年に発売した機種「美人-プレミアム-」に初めて縦と横のどちらにも目を大きくする機能を搭載し、人気を獲得した。

 しかし、07年にiPhoneが登場すると、プリントシール機の市場規模は08年に250億円、09年に230億円とどんどん縮小していった。09年にはプリント倶楽部を生んだアトラスが業務用ゲーム関連事業から撤退。そんな厳しい状況下でも、フリュー社を含む数社は機能向上を追い求め、新機種を開発し続けた。

盛りがピークだった10年ごろは、目が一段と強調されている

 「盛りのピークは2010年で、そのころは顔から目がはみ出しそうなぐらい目を強調した加工が主流でした。11年以降はナチュラルなテイストが人気となり、14年ごろからは顔のパーツごとや輪郭の補正、理想の肌質の実現など、多様化するニーズに寄り添う仕様が一般化していきました」

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