スマホで撮影できるのに、なぜ「プリクラ」文化は続いているのか誕生してから28年(4/5 ページ)

» 2023年12月24日 08時30分 公開
[小林香織ITmedia]

プリクラを撮る目的は「記念」「遊び」「SNS」

 フリュー社によると、若年女性がプリントシールを撮影する理由は、1位が「記念」、2位が「遊び」、3位が「SNSへの投稿」だという。同社のプリントシール機は全国のアミューズメント施設やテーマパーク、ショッピングセンターなどに設置されているほか、フリュー社が展開するプリントシール機専門店も全国にある。

フリュー社が展開するプリントシール機専門店「girls mignon」(ガールズミニョン)渋谷店
フォトジェニックな空間演出を施したプリントシール機専門店「moreru mignon」(モレルミニョン)。写真はSHIBUYA109店

 「ディズニーランドなどテーマパークを訪れたとき、カップルの記念日などにオシャレした姿で撮影したい需要があり、当社の専門店では舞浜イクスピアリ店がダントツで売り上げトップです。高校生にとっては定番の遊びの一つであり、『かわいい顔で写してSNSに投稿したい』ニーズも非常に強いと思います」

 フリュー社の調査では、現在の女子高校生のプリントシール機の体験率は約98%で、ほとんどが1度は撮影したことがあるぐらい浸透しているようだ。

フリュー社のプリントシール機ユーザーは、高校生から25歳までの女性が大多数を占めている

 「一時期、若年カップルの間でプリントシール機でのサプライズが流行ったこともあります。3、2、1とカウントして撮影するタイミングにプレゼントを渡すなどして、驚いている様子を写真に収めるんです。それを動画でも残したい需要があり、あえてスマホを置く台を設置した機種もあります」

 スマホは競合だと認識されがちだが、フリュー社の考えは異なっている。

 「当社では2018年から、一部の機種にスマホを置く台を設置し始めました。思い出としてプリ撮影(シャッターを切る前の瞬間を記録)を楽しむ様子を動画で残したいニーズが利用者から見えたためです。プリントシール機には『モノとして残る』『撮影者が不要』『空間がおしゃれ』といったスマホにはない要素があり、共存できると考えています」

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