「日産」創立90年、どこで歯車が狂ったのか トヨタの背中は遠く(1/3 ページ)

» 2023年12月26日 07時30分 公開
[産経新聞]
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 日産自動車が26日、創立90周年を迎える。日本の自動車産業をトヨタ自動車とともにリードしてきた存在だが、元会長のカルロス・ゴーン被告の逮捕後の混乱を経て、企業価値を示す株式時価総額は40兆円超のトヨタの約18分の1で、ホンダやスズキも下回る約2.3兆円と低迷する。提携先の仏自動車大手のルノーに有利だった資本関係が11月に対等に変わり、手にした経営の自由度を収益成長につなげられるか。100年の節目に向けて日産の地力が試される。

photo ロボットが車体に駆動システムを自動搭載する装置=8日、栃木県上三川町の日産自動車栃木工場

 「他がやらぬことをやる」。創業者の鮎川義介氏の言葉が外壁に大きく掲げられている日産の栃木工場(栃木県上三川町)。「シーマ」や「スカイライン」など往年の名車を世に送り出してきた基幹拠点で2年前に導入した「ニッサンインテリジェントファクトリー」と呼ぶ新生産システムが軌道に乗り、今月、稼働状況が報道公開された。

 通常なら10〜20台程度という工程で、約70台のロボットが働く組み立てラインでは電気自動車(EV)「アリア」の生産が整然と進む。EVの駆動システムを自動搭載する装置は、ハイブリッド車やガソリンエンジン車の駆動部品の自動搭載にも対応する。材質による焼き付け温度の違いから困難だった、鉄やアルミ製の車体と樹脂バンパーの一体処理を実現した世界初の塗装技術。ロボットによる56カ所に上る車両の仕様確認など、数々の工程の自動化・効率化で工場内の人影はまばらだ。

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