試乗ではまず、ハンドルの左奥にある「POWER」というボタンを押す。当然ながらエンジンはかからず、電子機器の電源が静かに入るような印象だ。
パーキングブレーキをボタンで解除し、ブレーキペダルから足を離すと、スムーズに動き出す。乗り心地はまさにEVで、振動はほとんど感じられない。アクセルを踏み込むと伸びやかに加速する。車内の静粛(せいしゅく)性は高い。ハンドルの感覚はどっしりとしており、床下にリチウムイオン電池が敷き詰められているからか重心が低く、安定感がある。
車輪を動かしているのはモーターで、電気は電池から供給されていた。では、どんな時にエンジンがかかり、発電を始めるのか。一つは、高速道路などでアクセルを踏み込んだときに、急激に出力を上げるために稼働する。そのほか、設定した電池残量に応じて、発電を始める。(1)ノーマル(2)EV(3)チャージ−という3モードがあり、ノーマルモードでは電池残量が40%を下回ると、EVモードでは0%になるとロータリーによる発電が始まる。そしてチャージモードでは、あらかじめ設定した電池残量までEV走行を続ける。
このため、試乗でエンジンの稼働・発電を実感するには、チャージモードに切り替える必要があった。そして、設定した電池残量に達するとついに、ロータリーエンジンが“咆哮(ほうこう)”した。
その音は通常、車の内部から聞こえる音とは全く違うものだった。発電として使われているだけあって、露店などで見かける発電機の音に近いだろうか。快いサウンドとは言えない。ただ、これはチャージモードで電池から発電機に電力の供給手段が切り替わり、出力が上がっているためで、マツダによると、例えばノーマルモードで発電をしながら走る場合は、もっとマイルドな音になるという。
開発に携わったマツダ商品開発本部の上藤和佳子主査が、「滑らかな乗り味にすることを重視して作った」と言うように、基本的にEVのように使うことが前提だ。「ロータリーはあくまで黒子(くろこ)」(上藤氏)であることが、プラグインハイブリッド車でありながら、車名にEVと冠した理由だという。
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