1泊110万円で「城泊」 持続可能な観光地「世界1位」に選ばれた街(3/4 ページ)

» 2024年01月06日 08時28分 公開
[産経新聞]
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 大洲城は江戸時代初期ごろの建設とされる。天守閣は老朽化のため明治21年に取り壊されたが、平成16年に日本で初めて木造で復元され、4棟の櫓(やぐら)は国の重要文化財に指定されている市のシンボルだ。

photo 天守閣1階のベッドルーム(キタ・マネジメント提供)

 城泊では、武士の姿をした家臣がコンシェルジュを務め、宿泊時に男性は甲冑、女性は和服に着替える。ほら貝と陣太鼓による入城の儀式で城に入ると、火縄銃の祝砲や伝統芸能の神楽が披露されるなど、まさに「殿様気分」が味わえる。

 宿泊料は2人1泊2日で110万円。年間売り上げのうち、6割が人件費、市への施設使用料が1割、神楽などの団体への支払いが2割となっており、集客が地域経済へ還元する仕組みとなっている。

photo 古民家を改修したホテルやお店が並ぶ=愛媛県大洲市(前川康二撮影)

 令和2年にサービスを開始すると、その珍しさから多くのメディアに取り上げられ、今年度は40組以上が宿泊予定という盛況ぶりに。観光客が増加するにつれ、地域に出店したいという人も集まり、令和5年度までの3年間で地域にカフェや雑貨店など22店が新規出店。移住者23人を含めて132人の雇用にもつながった。

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