1泊110万円で「城泊」 持続可能な観光地「世界1位」に選ばれた街(1/4 ページ)

» 2024年01月06日 08時28分 公開
[産経新聞]
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 江戸時代からの歴史的な街並みで「伊予の小京都」とも呼ばれる愛媛県大洲市が今年度、持続可能な観光地を表彰する「グリーンデスティネーションズ ストーリー アワード」の文化・伝統保全部門で国内で初めて世界1位を獲得した。大洲城天守閣に110万円で宿泊できる「城泊」を起爆剤に観光客を集客、収益を神楽や鉄砲隊などの保全に活用、官民が連携して約半数が空き家になる危機だったという古い街並みに、にぎわいを生み出した取り組みが評価された。12月には市内で記念シンポジウムが開かれ、これまでの取り組みや今後の街づくりの在り方について市民らが話し合った。

photo 城泊の宿泊客は甲冑姿で「入城」。まさに殿様気分が味わえる(キタ・マネジメント提供)

まさに城下町のにぎわい

 大洲市中心部に位置する大洲城の周辺には、江戸時代から明治にかけての武家屋敷や商家などが立ち並ぶ一角がある。NHK連続テレビ小説に登場したことにちなんだ「おはなはん通り」や、テレビドラマ「東京ラブストーリー」のロケ地、明治時代建築の銀行本店を活用した観光施設「おおず赤煉瓦(あかれんが)館」などの見どころが集まる観光スポットだ。

 市の景観計画区域に指定されているこの一帯では、こうした古民家が約100軒あり、うち26棟を客室として提供する「NIPPONIA HOTEL」が観光客をもてなす。移住者や地域の若手起業家などが開業したカフェや雑貨店、土産店なども軒を連ね、休日になれば国内外の観光客を乗せた大型バスが乗り入れ、まさに城下町のようなにぎわいになる。

 観光客数は令和元年からのコロナ禍でも増加傾向が続き、5年度はインバウンド客が従来の約1.5倍になったという。

 同地区の活性化に取り組む一般社団法人「キタ・マネジメント」の井上陽祐さんは「取り組みを始めた当時、町は閑散としていて、こんな国際的な評価を受けるとは思えなかった」と振り返る。

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