能登半島地震で露呈、イーロン・マスク氏体制「X」の課題 偽情報などで混乱(1/3 ページ)

» 2024年01月09日 20時49分 公開
[産経新聞]
産経新聞

 1日に発生した能登半島地震では、X(旧ツイッター)が2022年の起業家イーロン・マスク氏の買収による運営方針変更の影響を受け、偽情報の急増や仕様変更による混乱が一部で生じた。災害情報をいち早く入手する手段として、SNS(交流サイト)が主流になりつつあるなか、専門家はX社が偽情報への対応を厳格に行うとともに、利用者も情報を検証することが重要だと強調する。

 「偽情報が多すぎる」「API制限で通知が来ない」―。地震発生以降、Xには、ユーザーから戸惑いや批判の声が次々と投稿された。

災害や気象情報を配信する「特務機関NERV」は1日、「APIの使用回数が上限に達した」として自動投稿ができなくなったと報告。その後、X社から防災・災害情報を提供する「公共アプリ」として認められることで、同日中に自動投稿は再開した。

 APIは、外部のプログラムとつなぎ、自動投稿などを可能にするシステム。X社は、昨年7月からAPIの使用回数制限を行っていた。その影響で、熊本県など防災アカウントの利用を停止する自治体も相次いだ。X社は同年8月に政府や公的機関からの防災・災害情報は無償利用が可能と発表したが、今回の地震でもNERVをはじめ、地震速報を自動投稿するアカウントが影響を受けた。

 昨年夏からは、条件を満たした有料会員に投稿の返信欄などに表示される広告収入の一部が分配される「広告収益分配プログラム」がスタート。この収益のためにインプレッション(表示回数)を増やそうと、偽情報や、拡散している投稿を(複製して貼り付ける)コピーペーストして新たに投稿するケースが増えた。今回の能登半島地震でも、架空の住所を記載し、「助けて」と救助を訴える偽情報や、救助要請をコピペして投稿する事例が相次いだ。関心を集め、インプレッションを稼ぐのが狙いとみられる。

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