サイゼリヤの広報担当者によると、スマホで注文する方法を導入し始めたのは2023年の冬頃だという。現在、新方式の導入を進めているフェーズであり、紙による注文方式と入れ替わっている最中だ。新方式の狙いについては「お客さまが注文したい時に注文できるなどの便利さ、注文作業時間の削減、低投資などの効果を見込んでいます」と説明する。「低投資」というのは、他の外食チェーンで見られるような注文専用のタブレットが必要ないといったことを指していると考えられる。
これまでの注文方法と比べて、店員の動きにはどういった影響が出るのか。筆者が気付いたことをいくつか挙げてみる。
これまでは、注文用紙にメニュー番号を記入した後、ベルで店員を呼ぶ必要があった。注文用紙を受け取った店員は、間違いがないように、記載内容を利用客の前で復唱する。新方式では、こうした一連の動きが全て不要になる。
筆者はサイゼリヤのヘビーユーザーだが、店内が騒がしい時や、一緒のテーブルに座っている人と会話している時に、店員が復唱した内容をしっかり聞き取れないことがあった。そのため、間違った注文内容が伝わってしまったことが何度かあったが、そうしたミスもなくなると感じた。
店内が混雑していると、ベルを押してから店員が自分のテーブルに来るまで時間がかかるだけでなく、“わざわざ”呼びつけるような申し訳なさを感じることもあった。そうした後ろめたさがなくなった。
細かい要望も気軽に伝えられるようになった。現在のメニューブックをみると、デザートの「イタリアンジェラート」欄に「(すぐに)3205」「(あとで)3905」という2つの番号が並んでいる。すぐに食べたい場合は3205をスマホで入力し、食事が一通り済んだ後に提供してもらいたい場合は3905を入力する仕組みだ。こうすることで、店員による「デザートの提供はどうしましょうか?」という確認が不要になる。
以上が、筆者の体験したサイゼリヤの新しい注文方式だ。全体的に、注文ミスが減るだけでなく、店員の業務負担を減らす仕組みになったように感じた。
利用客のスマホから注文する方式は、他の外食チェーンでも見られる。例えば、くら寿司ではコロナ禍でも安心して来店してもらうため、テクノロジーを駆使した非接触型の注文方法を導入した。店内のタッチパネルに触れることなく、自身のスマホから各種メニューを注文できる仕組みだ。
サイゼリヤの新しいDXの取り組みは、利用客の支持を得られるか。
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