ダイハツ工業(以下、ダイハツ)とトヨタ自動車は2月13日、共同会見を開催し、ダイハツの経営陣を刷新すると発表した。ダイハツの奥平総一郎社長は退任し、3月1日付でトヨタ自動車中南米本部本部長の井上雅宏氏が新社長に就任する。ダイハツの松林淳会長も退任し、会長職自体を廃止。ダイハツの星加宏昌副社長は留任し、トヨタ自動車九州取締役副社長の桑田正規氏が新たに副社長に就任する。
ダイハツは2023年12月20日、製造する64車種・3エンジンの認証試験において、174個の不正が発覚したと公表。調査を行った第三者委員会は、不正の背景に短期間での開発による、現場への負担があると指摘した。
24年2月9日には、再発防止策をまとめた報告書を国土交通省に提出。「風土改革」「経営改革」「モノづくり・コトづくり改革」を「三つの誓い」として定め、組織風土の問題に取り組むとしていた。
ダイハツの新社長に就任する井上氏は現在、南米に赴任している。言葉や文化が異なる海外において、現場をまとめ上げた手腕が買われ、今回新社長に選出された。井上氏は今後のダイハツについて「トップダウンとボトムアップがミックスされた体制を目指すべき」とコメント。詳しい新体制方針は4月に発表するとしている。
トヨタ自動車の佐藤恒治社長は、今回の人事について「引責辞任ではなく、再発防止を進めていくための人事である」と説明。また、グループ内で不正が相次いでいることに対し、1月30日に豊田章男会長が発表したグループビジョンに触れながら「不正は複雑な問題であり、すぐ解決するわけではない。現場に主権を戻し、現場経営を徹底する」とコメントした。
ダイハツの今後について佐藤社長は「軽自動車に軸を置き、海外事業は企画、開発、生産をトヨタからの委託に変更する方向で検討していく。将来的にはラストワンマイルを担う小型車までを視野に入れたモビリティカンパニーを目指す」としている。
会見の最後で井上新社長は「トヨタとダイハツは補完関係にある。今後も両社が持続的に成長していけるよう進んでいきたい」と決意を語った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング