ダイハツ再建のカギ 経営を握る“トヨタ支配”の当事者意識(1/2 ページ)

» 2024年02月14日 08時15分 公開
[産経新聞]
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 認証試験不正の再発防止策をまとめ、新経営体制も固まったことで、信頼回復に向けたダイハツ工業の再建が本格化する。不正行為を行ったダイハツの体質改革が不可欠なのは言うまでもないが、その改革の実効性を高める上で重要なのは再建の成否を握るのは親会社のトヨタ自動車だというトヨタ側の当事者意識だ。

 「有事の会話ではなく、平時の会話をいかに豊富にしていくかが大事だ」

 ダイハツの新経営体制発表の記者会見で、トヨタの佐藤恒治社長はダイハツの井上雅宏次期社長との関係について、こう語った。

本音のやりとり

 ダイハツが9日公表した不正の再発防止策には「トヨタ・当社のトップ同士の継続的な本音のコミュニケーション」という一文がある。裏を返せばトヨタ出身者が経営のかじを握り、開発業務でも連携していたにもかかわらず両社間には“本音”のやり取りがなかったか、あるいは希薄だったということだ。

photo 会見したトヨタ自動車の佐藤恒治社長(左)とダイハツ工業の社長に就く井上雅宏氏=13日午後、東京都中央区(岩崎叶汰撮影)

 ダイハツの不正の背景にあった車両開発現場への過度のプレッシャーや、「上にモノがいえない」という企業風土は、歴代トップを送り込み、トヨタブランドの小型車開発をダイハツに担わせているトヨタの存在を抜きには語れない。

 親会社のトヨタに対してはその力関係から子会社のダイハツに遠慮や忖度も生じやすい。佐藤氏が「平時の会話」に言及したのはそうした関係をトヨタ側から変えていこうとする意志を示しているが、トヨタ出身者らがダイハツの「急拡大のひずみを吸い上げられなかった」(井上氏)両社の距離を変えるには、トップ二人の頻繁な対話を全社的なレベルに広げるトヨタ側の姿勢が必要だ。

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