唐揚げ専門店の倒産が相次ぐのに、増え続ける「コンビニ唐揚げ」 ファミチキ、からあげクンと並ぶ存在に育つか(1/3 ページ)

» 2024年02月16日 05時00分 公開
[山口伸ITmedia]

 ひと頃のタピオカブームのように、コロナ禍では唐揚げ専門店が街中に乱立し、一種の唐揚げブームを引き起こした。しかし最近では専門店の衰退もささやかれ、実際に閉店や倒産が進んでいる。

 一方、ブームに便乗するように新商品が投入された「コンビニ唐揚げ」は専門店の衰退をよそに売れ続け、現在でも販売が続く。各社が販売するコンビニ唐揚げの特徴と、売れている要因についてまとめていく。

ブームになった「唐揚げ」の今(出所:ゲッティイメージズ)

需給双方のニーズにマッチも、近年は衰退傾向

 コロナ禍で、街中に多くの唐揚げ専門店が現れた。大衆酒場のように明るい店舗は人出が少なくなった街で目立つ存在であり、人気店には行列もできていた。地場の企業が営む店舗だけでなく大手も参入し、モンテローザは「からあげの鉄人」を、ワタミは「から揚げの天才」の出店を進めた。ガストは「から好し」ブランドを併設した店舗を増やし、唐揚げメニューを充実させている。

 日本唐揚協会によると、各年4月段階の唐揚げ専門店の数は、2018年の1408店舗から20年には2445店舗へと増加。コロナ禍でさらに増え、22年には4379店舗となった。

 唐揚げ専門店ブームは需要面と供給面から説明がつく。

 需要面から見ると、家庭で揚げ物を調理することが減り、コロナ禍以前から外食や中食で取り入れることが一般的となった。そんな中でのコロナ禍は外食需要を抑え込み、代わりに中食需要が伸びたことで専門店に客が集まった形だ。スーパーの総菜や冷食と比べると高いものの、専門店の唐揚げは味にこだわったものが多く、自粛期間中の閉塞感を破る存在としても求められたと推測される。

 供給面から見ると、初期投資の低さが唐揚げ専門店ブームを引き起こしたと考えられる。持ち帰り専門にすれば狭い店舗でも開業でき、揚げるだけなので細かいノウハウもいらない。苦境の飲食店に代わる業態として出店した業者もいたようで、さまざまなプレーヤーが参入した。

 しかし、22年の冬あたりからメディアでその衰退が取り上げられるようになった。先述の日本唐揚協会によると、22年4月から23年4月にかけて店舗数は4379→4388と横ばいだが、関東では164店も閉店しており、首都圏での閉店が衰退のイメージを強めたといえる。帝国データバンクによると23年の後期は倒産件数が特に増えており、実際に規模が縮小していることが分かる。

出所:帝国データバンクのリリース
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