「14億人でも住み切れない」空き家で中国不況深刻化、ジレンマは?(1/2 ページ)

» 2024年02月21日 09時46分 公開
[産経新聞]
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 【北京=三塚聖平】中国人民銀行(中央銀行)が20日、住宅ローン金利の目安に絞って利下げに動いた。住宅購入を促し、不況が深刻化している不動産市場の改善を狙うが、供給過剰といった問題を抱えて市況には浮上の兆しが見えない。習近平政権は厳しい経済政策のかじ取りを迫られている。

「史上最大の下げ幅」

 中国経済メディアは20日、人民銀が同日、住宅ローン金利の基準となる「ローンプライムレート(貸出基礎金利、LPR)」の5年物を0.25%下げたことを受け「史上最大の下げ幅」と強調した。住宅ローン金利の引き下げで住宅市場を回復させ、景気浮揚につなげる計算がうかがえる。

 昨年夏に住宅購入時の頭金の割合を下げるといった市場刺激策を打ち出しているが、思うような効果が出ていない。国家統計局が発表した昨年12月の新築住宅価格指数によると、主要70都市のうち前月比で下落したのは62都市で全体の約89%に相当する。規模が小さい地方都市である「3線都市」「4線都市」では価格下落がさらに深刻だ。

 価格下落を恐れた住宅購入の手控えのほか、供給過剰も響いている。統計局元幹部は昨年、中国に空き家や空室が30億人分あるとの推計もあるとし「14億人でさえ住みきれない」と発言した。

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