バブルの34年前とは「時価総額」も様変わり、上位10社を比べる(1/2 ページ)

» 2024年02月23日 09時48分 公開
[産経新聞]
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 22日の東京株式市場で、日経平均株価がバブル経済期の平成元年12月29日の水準を超え、史上最高値を更新した。同日時点の企業の値段を示す時価総額をみると、トヨタ自動車が57兆4450億円で圧倒的首位に立ち、上位10社には製造業から通信、アパレルまで幅広い業種が入った。銀行を中心に日本企業が世界を席捲(せっけん)したバブル経済期から、日本経済の牽引(けんいん)役の顔ぶれは大きく変わった。

上位に半導体銘柄

 時価総額は企業の発行済み株式数に株価をかけた数字で、株式市場が将来に寄せる期待の大きさも反映される。

 22日の上位10社には、ソニーグループやNTT、ソフトバンクグループのほか、「ユニクロ」を展開するファーストリテイリング、計測機を手掛けるキーエンス、生成人工知能(AI)の需要増で注目される半導体製造装置大手の東京エレクトロン、半導体基板の材料であるシリコンウエハーを扱う信越化学工業もランクインした。

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 米国の巨大IT企業が上位をほぼ独占する現在の時価総額の世界ランキングで100位に入る日本企業はトヨタだけだが、バブル経済期の平成元年12月29日当時は全く様相が異なった。

 22兆9320億円を付けたNTTをはじめ、日本興業銀行、住友銀行、富士銀行、第一勧業銀行が国内外ともに上位5社を占め、海外勢トップの米IBMなどを上回っていた。

 しかし、バブル崩壊後は不動産価格や株価の大暴落を受け、銀行や証券会社などの経営が悪化し、倒産する企業も出た。不良債権危機を背景に、都市銀行を中心に銀行による経営統合・再編が行われ、「メガバンク」が誕生した。

 同時にITが社会に大きな変革をもたらした。野村証券の沢田麻希ストラテジストは「通信など公益事業の規制緩和が進んだ。スマートフォンが登場し、データ通信量も増えていった」と解説する。

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