さようなら、秋葉原のシンボル「肉ビル」 完全撤退の理由は?肉の万世秋葉原本店(1/2 ページ)

» 2024年02月23日 12時54分 公開
[産経新聞]
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 肉料理専門のレストランなどで知られる「肉の万世(まんせい)」秋葉原本店(東京都千代田区)が3月31日に完全に閉店し、33年の歴史に幕を閉じる。JR中央線脇にそびえるレンガ風の10階建ての建物は「肉ビル」と呼ばれ、秋葉原のシンボルにもなっていた。来月の閉店を前に、同店しか扱っていない名物のパーコー麺などを食べようと、多くのファンが行列を作り、別れを惜しんでいる。

photo 万世秋葉原店でのみ食べられる「パーコー麺」を求めて、行列ができていた

洋食、カツサンド…電車見ながら食事も

 肉ビルは平成3年、万世の完全な自社ビルとして建設された。肉料理専門の洋食店や焼き肉店、名物のカツサンドの工場などが入居。3階のフロアからは、今でも中央線の電車が目の前を通り過ぎる迫力ある風景を見ながら、特製デミグラスソースがかかったハンバーグなどの食事を楽しむことができる。同社は新型コロナウイルス禍などで客足不足に悩む時期があり、令和3年に肉ビルを売却。現在は新たなオーナーに賃料を払ったうえで、1階に「万世麺店」、3、4階に洋食店が入居する形で営業を続けてきた。同社は今回、万世が肉ビルから完全撤退する理由について、建物が老朽化したことや、「コロナ禍以降、経済情勢が苦しい中で今後の営業戦略を見直すため」と説明している。

photo 「肉の万世」秋葉原本店ビル(東京都千代田区)

 閉店にあたり、同社は肉ビルに、縦書きで「いままでありがとう」とメッセージが読める垂れ幕を掲げ、「がんばった自分へのご褒美やお祝いとともに思い出に残るレストラン」と記した。

 秋葉原は、同社にとっても昭和24年に創業した聖地でもある。もともと電気部品商として開いた店舗を食肉業に変えている。店名は、近くを流れる神田川にかかる「万世橋」からとったという。同社は3月25日に、JR秋葉原駅近くのテナントビルに「アキバプレイス店」を新設し、既存の焼き肉専門店「焼肉の万世秋葉原店」とともに、秋葉原での営業を続ける。

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