GDPで日本を抜いたが、物価高に悩むドイツの国内事情(1/2 ページ)

» 2024年02月24日 20時06分 公開
[ZAKZAK]
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 2023年の日本のドル建ての国内総生産(GDP)がドイツに抜かれて4位に転落したことは大きな話題になった。「ドイツ経済の強さの秘密」を特集するメディアもあったが、ドイツ在住の医師でジャーナリスト、村中璃子氏は「庶民には実感がない」と指摘する。物価高がのしかかるドイツ経済の現状をリポートする。

 2月15日、筆者の暮らすドイツが日本を抜き、世界第3の経済大国となったことが明らかになった。だが、このニュースに対するドイツ人の反応は冷たい。その理由はあくまでも「日本経済の縮小」にあり、庶民には「ドイツ経済が良くなった」という実感がまるで持てないからだ。

photo ドイツではトイレットペーパーも価格が高騰している(村中氏提供)

 まず、ドイツでは物価は高止まりしている。食用油やトイレットペーパーなどユーロ建てで見れば一時期より下がったものもあるが、特に外食が高い。飲み物とパスタで10ユーロも出せば食べられたランチが、今やパスタだけで13ユーロ(約2080円)はする。1食3.5ユーロだった学食も5〜6ユーロ(約800〜960円)だ。5年前には3〜4ユーロだったドイツの国民食「ケバブ」も今は7〜8ユーロ(約1120〜1280円)が相場で、2月3日の国会でも「このままではケバブが10ユーロを超えてしまう」として議題に上がったほどだ。

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