総勢500人超がUSJで「駅伝」! 賃上げだけじゃない、USJの「スゴい」人材施策(1/4 ページ)

» 2024年02月29日 05時00分 公開
[鬼頭勇大ITmedia]

 2月2日、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)を運営するユー・エス・ジェイが3年連続となるパート・アルバイトクルーの賃上げを発表した。4月に一律で50円を引き上げ、時給レンジは1210〜1540円となる。

 2月時点での大阪府における最低賃金は1064円であり、最も低い時給でも150円ほど上回る計算だ。理由について同社は「パーク運営の原動力となっているクルーの採用・定着化をより一層促進し、より魅力的なエンターテイメントを提供していくため」としている。

多くのクルーが働くUSJの人材施策とは?(画像提供:ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)

企業の人手不足はコロナ前の最高水準に肉薄

 正社員・アルバイトなど形態を問わず人手不足の傾向が強まっている。帝国データバンクが23年11月に発表した調査結果によると、同年10月までに発生した人手不足倒産は206件。また、正社員が不足していると回答した企業は全体の52.1%、非正社員では30.9%だった。これまでの最高値はいずれも18年で、正社員は同年11月の53.9%、非正社員は同年12月の34.9%。双方とも20年に底打ちをして以降、過去最高に近付きつつある状況だ。

マーケティング部門のオフィス(撮影:筆者)

 大きな要因は、少子高齢化による労働人口の絶対数が減少していること。コロナ禍で各社が活動を制限したことで一旦は緩和していたが、その後に経済活動が復旧して再び限られたパイを各社が奪い合う形になっている。インバウンド需要も復活を見せていることで、さらに人手不足に拍車がかかっている。

 そんな中でUSJは23年の1年間に、クルーの登録数を2000人規模で増加させた。もともとのブランディングもあるとはいえ、冒頭で紹介したような賃上げも影響していそうだ。ただ、USJの取り組みはこれだけにとどまらない。

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