総勢500人超がUSJで「駅伝」! 賃上げだけじゃない、USJの「スゴい」人材施策(2/4 ページ)

» 2024年02月29日 05時00分 公開
[鬼頭勇大ITmedia]

引っ越し費用だけでなく家賃も半額負担

 金銭面の補助では、23年から開始した“未開拓エリア”での人材確保で顕著だ。従来は大阪近辺でしか採用活動を行っていなかったところ、前述したように社会的な人手不足もあり、エリアを拡大した。

 ユー・エス・ジェイの大河原貴信氏(人事部 課長)は、新たに採用の対象としたエリアの条件として「大阪圏まで2〜3時間程度」「大阪への流入率が高い」「大阪と最低賃金の差が大きい」といった点を挙げる。これらのエリアで比較的シフトに多く入れるアルバイト・パートのクルーを採用した。

 最終的に名古屋・米子・岡山・松山・高松・福岡から100人以上の採用に至ったというが、そのサポートの手厚さに驚かされる。例えば、敷金・礼金を18万円まで、引っ越し費用を最大11万5000円まで負担し、3万円を上限に家賃の半額も3年間にわたり援助。その上で10万円の祝い金を支給した。

 もちろんこうした金銭面の補助もUSJを魅力的な職場にしている要因の一つだが、従業員満足度やエンゲージメントを向上させる他の施策にも取り組んでいる。大河原氏は「アルバイト・パートから社員への登用や、それ以外にもUSJにしかできないような取り組みを意識しています」と話す。

 その一つが、USJ駅伝大会だ。

総勢504人がクローズ後のパークを疾走

 2月7日、4年ぶりの社内イベントが幕を開けた。昼間は多くのゲスト=来場者が日本だけでなく世界からも押し寄せ、非日常を楽しんだ空間を、USJで働くクルーたちが駆け抜ける。同じ部署やアトラクションといった職場対抗で8人1組のチームがタスキをつないでいく。沿道には応援する人の存在もある。

USJ駅伝大会の様子(画像提供:ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)

 10年に初めて開催したUSJ駅伝大会。コロナ禍で中断していたが、24年は4年ぶり12回目の開催となった。鎌田佳弘氏(人事部 次長)によると、今回は過去最高となる116チームがエントリー。大会運営の都合上、そのうち63チームに絞り、総勢504人がクローズ後のパークでタスキをつないでいった。参加者はアルバイト・パートがメインだが、多くの社員も参加した。

USJ駅伝大会の様子(画像提供:ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)

 コースは1周2.2キロを7周。コース中にはゲームなども用意されていたという。上述したような沿道の応援もあり、本格的だ。運営のボランティアには70人超が集まったといい、クルーたちの駅伝に対する熱量の高さがうかがえる。スターターは社長が務め、全社的にかなり気合いの入ったイベントといえるだろう。

 駅伝以外にもソフトボールやバレーボール大会を開催し、直近ではウォーキングやヨガイベント、ワークアウトの取り組みなども社内で開始するなど、クルーの交流を目的としたイベントを多数行っている。

USJ駅伝大会の様子(画像提供:ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)

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