再び暗黒期に戻る金融政策の転換だけは避けよ 日経平均が34年ぶりに史上最高値更新(1/2 ページ)

» 2024年02月29日 12時28分 公開
[ZAKZAK]
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 日経平均株価がバブル期の1989年12月29日の取引時間中に記録した3万8957円44銭を終値で上回り、史上最高値を記録した。日本の株価指数が34年ぶりに高値を更新したというニュースを見ると、その他の国々の株価指数はこの34年間でどれぐらい上昇したのかが気になるものだが、本稿ではあえてそこには触れずに新たな歴史の扉を開けた日本の株式市場を喜ぶことにしよう。

 しかし、バブル後の最高値を更新したということから、バブル期と同様にこの後、日経平均が暴落するのではないか、と危惧する方も相当数いるようだ。高値更新の日経平均に死角はないのだろうか。

 日経平均は年始から2カ月もたたないうちに上昇率が17%を超えた。PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)をみれば一時期の割安さは解消されつつあるが、現在の株価水準でもバブルというほどの過熱感はない。2月には特に大きな理由もなく1日で1000円以上上昇した日もあったわけであり、今後はスピード調整として上昇が一服する期間もあるだろう。1日で1000円を超す下落幅を記録してもおかしくないが、それをバブル崩壊と騒ぐ必要はない。

 株価は絶好調だが日本の経済はそれほど強くはない。厚生労働省が発表した毎月勤労統計調査によれば、実質賃金は21カ月連続のマイナスで、総務省が発表した家計調査によれば1世帯当たりの消費支出は10カ月連続で減少している。内閣府が発表した2023年10〜12月期の国内総生産(GDP)の内訳を見てみると、日本のGDPの半分以上を占める個人消費は前期比0.2%減と3四半期連続のマイナスとなっており、民間の設備投資も3四半期連続のマイナスだ。住宅投資は2四半期連続のマイナスであり、日本経済のメインである内需は脆弱(ぜいじゃく)な状態だ。

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