WinCAuditionに参加した学生の数は、サービス開始の19年度が445人。開催を重ねるごとに参加人数は増加しており、23年度はオンライン参加を含めると約2000人となった。24年1月現在で、累計5000人に迫る勢いだ。
しかし、開催当初は「社長に直接会って就活をする」というカルチャーがなかったので、イベントを認知してもらうことにも苦労した。そこで、最も力を入れたことは、イベントのクオリティーである。特に、社長と学生がフランクにコミュニケーションを取れるように注力したという。
社長と学生が会話がはずむように質問カードを導入したり、価値観が分かるパーソナルデータをロールプレイングゲームのようにHP(ヒットポイント)や攻撃力、知力などの特徴を記入して開示したり、遊び心も取り入れている。
工夫を凝らした結果、「社長との距離がここまで近いイベントは他にない」と評判が広まった。また、コロナ禍でオンラインでのコミュニケーションが浸透したことも追い風となり、地方や留学先から参加する学生が増えたことも、全体の利用者増につながったようだ。
昨今、企業がSNSアカウントを作成し、社長や経営陣が自ら発信することも珍しくない。「社長という存在が身近にあると感じる学生が増えたことも大きい」と高崎氏は指摘する。
学生側の会社を選ぶ軸として、経営者の人となりを確認したいと考える学生が増えたことがうかがえる。
WinCを利用するにあたって、企業側にあるルールが課せられる。学生と初めて会うときに、社長または取締役以上が必ず参加しなければいけない。ちょっと珍しいルールともいえるが、それでも参加する企業が増えている背景に、「組織のミッション・ビジョン・バリューを定義する企業」「人的資本経営の考え方を取り入れる企業」が増えたことも影響しているのかもしれない。
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