「6時間待ち」を500円でスキップ 飲食店でも「ファストパス」が広がる納得の理由長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/4 ページ)

» 2024年03月06日 05時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

ファストパスはプライオリティパスへ、有料の優先券も

 一方で、いわゆるファストパスを導入しても、今度はファストパスの入手競争になっているのは皮肉な状況だ。値段をもっと高く取るべきなのかなどの課題も見えてきている。実際に、テーマパークでは「有料化」が進む。

 東京ディズニーリゾートでは00年7月、東京ディズニーランドのアトラクション「ビッグサンダー・マウンテン」で、初めてディズニー・ファストパスを導入した。その後、東京ディズニーシーを含めて対象アトラクションを拡大し、コロナ前には20ほどのアトラクションで実施していた。

 ディズニー・ファストパスは無料の優先入場サービスで、対象アトラクションは一般の入場レーンとは別に専用の入場レーンがある。専用の発券機から入手できるディズニー・ファストパスには入場できる時間が書いてあり、行列の待ち時間を短縮できる便利なサービスとして、人気を博した。その後、19年7月には、東京ディズニーリゾートの公式アプリから、パーク入場後にディズニー・ファストパスを発行できるようになった。

東京ディズニーシーでは6月に新テーマポート「ファンタジースプリングス」がオープンする(出所:プレスリリース)

 ディズニー・ファストパスは人気だったものの、コロナ禍に運用休止。23年6月には終了をアナウンスするとともに、期間限定で「東京ディズニーリゾート40周年記念プライオリティパス(以下、プライオリティパス)」を発表した。こちらは40周年イベントの終了後も利用できるとしており、終了日は未定である。

 プライオリティパスは、ディズニー・ファストパスとほぼ同様の無料サービスだが、対象のアトラクションは少ない。東京ディズニーランドでは7つ、東京ディズニーシーでは6つが対象だ。なお、プライオリティパスは、入場用のチケット1枚につき1人分を取得でき、複数人数分は取得できない。また、次のアトラクションで取得するには、先のアトラクションを取得してから120分が経過するか、取得したプライオリティパスの利用開始時間を迎える必要がある。

 ここまでは無料のサービスだが、22年5月から有料サービスとして「ディズニー・プレミアアクセス」も提供している。こちらもパークへ入場後でないと利用できず、公式アプリから対象アトラクションを選んでクレジットカードで決済する仕組みだ。

 価格はアトラクションによるが1人2000円前後で、パレード・ショーも対象になっている。購入から60分後、もしくはプレミアアクセスの利用開始時刻、どちらか早いほうの時間が過ぎたら、次の購入が可能になる。

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