USJはユニバーサル・エクスプレス・パスを06年に導入した。サービスを受けられるアトラクションの数によって、いくつかの種類に分かれている。東京ディズニーリゾートで提供している同様のサービスと異なり、事前に購入できるのが特徴だ。
サービス内容は、全アトラクションが対象である「ユニバーサル・エクスプレス〜プレミアム」だと、全アトラクションで1回ずつ待ち時間を短縮できる。その他、それぞれ対象アトラクションが7つ、4つである「ユニバーサル・エクスプレス・パス 7」と「ユニバーサル・エクスプレス・パス 4」がある。
パス 7は、6つのアトラクションが指定されており、「ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド」か「ジョーズ」のどちらか1回の待ち時間を短縮できる。パス 4は、さらに細かく分かれており、好みのアトラクションの組み合わせから選べる。
コロナ禍を経て、外国人観光客の行動を観察していると、値段以上の価値を求めるコスパよりも、限られた時間をいかに有効に使って体験を最大限に重ねるタイパが、重視されてきているように感じる。日本はその流れにまだ乗り切れていない感があるが、だんだんとコスパからタイパへ、トレンドが移っていくのではないだろうか。
バブル崩壊以降、日本が長期間にわたってモノの価格が継続的に下がるデフレに陥ったのは、世界中で類を見ないケースだ。今、ようやくデフレを脱却して、モノの価格が継続的に上がるインフレへの転換が進んでいる。インフレが当たり前になれば、給料も継続的に上がるだろう。
そうした中で、同じ商品・サービスでも需要の多いときには高くなり、需要の少ないときには安くなる、一物多価のダイナミックプライシングが広がっていく予感がする。
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。著書に『なぜ駅弁がスーパーで売れるのか?』(交通新聞社新書)など。
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