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元「刑務所看守」がSalesforceエンジニアに リスキリングを成功させる企業のやり方がすごかった勝ち続けるためのリスキリング(2/3 ページ)

» 2024年03月07日 08時00分 公開
[岡安太志ITmedia]

異業界出身者が活躍 入社の決め手は?

 同社の特色として、異業界出身者の多さが挙げられる。入社した社員のうち「PC実務経験者」は30%にとどまる。事務職、営業職、接客業からの入社が多く、冒頭に書いたような異色の経歴を持つ人も少なくない。

 多様なバックボーンを持つ人材がどういう思いで同社を志望し、入社するのか。今後のキャリアを考える上で、IT業界における“手に職”を求める人は多いと荒谷社長は話す。

 「入社の決め手は本当に人によってさまざまですが『手に職をつけたい』という方が多いです。(今の仕事を辞めたいという)ネガティブな理由もあれば、さらに自分を高めたい、挑戦したいというポジティブな理由で入社する人もいます」(荒谷社長)。

実践的な研修メニューを徹底

 今までPCの実務経験がほぼなかったまま入社する社員も多い中、入社後の研修を通してドロップアウトする人はほとんどいないという。

 その理由はまず、同社の厳選した採用にある。人間性、コミュニケーションスキル、成長意欲などを重視した採用で、応募からの採用率は6%にとどまる。また入社後の研修期間は3〜6カ月と、一般的な研修期間よりも長く設けている。

 なお、講師は現役の一線級で活躍するエンジニアが担当するという。そしてこの期間に学ぶことは資格を取るための「座学」だけではない。

 「勉強を頑張る人であれば、資格は1カ月で取得できてしまいます。しかしながら標準機能やスペックを分かっただけでは、実際の現場では通用しません。そのため研修期間をじっくり設け、より実践的なケースを学んでもらうために『ケーススタディー』『模擬プロジェクト』を経験してもらいます」(荒谷社長)

現場で通用する実践的な経験を積んでもらう、と荒谷社長

 テラスカイは創業から18年間で約1万7000のプロジェクトを経験している。過去に実際にあった取引先からの要望や業務要件、システム要件をもとに約200のケーススタディーを作成し、一定以上の正答を出せないと通過できない仕組みとなっている。

ケーススタディーの出題例

 研修の理解度や進捗具合は可視化しており、つまづいている箇所があれば講師チームが寄り添って個別でサポートするという。

 模擬プロジェクトとは、実例をモデルにした顧客からの要望を出題し、研修生は仕様書を作成し、実際にSalesforce上に構築、そして顧客役の講師にプレゼンするという実践的な課題だ。

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