EV減速の中でもっとも注意すべき政策池田直渡「週刊モータージャーナル」(1/4 ページ)

» 2024年03月11日 07時00分 公開
[池田直渡ITmedia]

 EVシフトの減速を示すニュースが次々に発表されている。BMW、GM、フォード、テスラ、リビアン、アップルなど、多くの会社が先行きの見込みをマイナス修正。計画の先延ばしや中止など、現実に応じた修正を余儀なくされている。

 ただし、こうなるのはずっと前から分かっていたことで、ようやく世間が悪夢から覚めたということになるだろう。「後出しで言うな」という人が出てきそうなので、本連載の過去記事を遡(さかのぼ)ってみた。まあ本人もいったい何時からマルチパスウェイの記事を書き始めたのかよく覚えていないので、一度おさらいしてみたかったのもある。

BEVシフトが限定的であることを最初に明確に書いた記事、「日本車はガラケーと同じ末路をたどるのか?」

 BEVシフトが限定的であることを最初に明確に書いたのは7年前、2017年5月の「日本車はガラケーと同じ末路をたどるのか?」だ。

 そしてエンジンはなくならないという主張が同じ年の7月にある。「電動化に向かう時代のエンジン技術」という記事だ。

 現在の流れに至る原因が欧州の戦略的失敗にあることを書いたのが、同年8月「内燃機関の全廃は欧州の責任逃れだ!」

 トヨタ出遅れ説に対する反論も8月だ。ここでは明確にマルチパスウェイを提案している。「トヨタはEV開発に出遅れたのか?」。

 次いで中国製EVに日本が席巻されることはない、という論を展開したのが18年1月になる。「中国製EVに日本市場は席巻されるのか?」

 欧州市場が中国メーカーに侵略を受け、特にドイツメーカーが中国に食われるリスクに警鐘を鳴らした記事を出したのが19年3月である。「日本車の未来を考える」

 まあ、こうやって自信を持って過去記事のリンクを挙げられるのも、今読み返して、全ての記事が予想を外していないからだ。さすがに中国経済の没落度合いに関しては筆者の予想を上回っているが、超長期的に見れば、ポスト習近平の時代がくれば(もちろんまともな治世の政権にバトンタッチされればという意味だが)、また3000万台マーケットに戻る可能性はあるという意味では、それも外したとは思っていない。

 ということで、自慢話と取られるのは承知の上だが、吹き荒れる逆風の中で「自動車産業の走狗」呼ばわりされながら書き続けるのは正直大変だったので、これくらいは書かせてもらいたい。

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