大丸「神エリア 13階」の成功で何が変わった? 百貨店がワンピース、ポケモン、マリオ発信 (3/3 ページ)

» 2024年03月24日 21時29分 公開
[産経新聞]
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異なる層取り込み

 大丸梅田店が成果を上げる中、関西の各百貨店でも同様に訪日客や若い層を取り込もうとポップカルチャーに力を入れる動きが広がり始めている。

 近鉄百貨店あべのハルカス本店(同市阿倍野区)は今年2月、ポップカルチャーを発信する拠点となるショップをリニューアルオープンさせた。もともとあった店舗を移転させ、約1.5倍に拡張。今後ブレークしそうなアニメなどのコンテンツ展示を数週間ごとに入れ替えており、“推し活”に熱中する20代を中心とした国内外の若い層に浸透している。近鉄百の担当者は「これまでうちでは取り込めていなかった層が百貨店を訪れるきっかけとなった」と話す。

また高島屋京都店(京都市下京区)は昨年10月、併設するビルで「Nintendo KYOTO(ニンテンドーキョウト)」や漫画や玩具を取り扱う「まんだらけ」などを開業。国内外の幅広い層が連日来店しているという。高島屋では大阪店(大阪市中央区)でもキャラクターコンテンツに力を入れており、企画展を定期的に開催。最近は人気キャラクター「モンチッチ」のイベントが盛況に終わった。

 海外の高級ブランドを扱う一方でポップカルチャーも充実していく百貨店。こうした変化にニッセイ基礎研究所の久我尚子上席研究員は「ポップカルチャーは外国人客のみならず、日本人にも対応できる強力なコンテンツ。スペースがあり、そこでしか体験できないサービスを提供できるのは百貨店の強みだ」と分析する。

 円安で高級ブランドの売り上げが好調な百貨店だが、久我氏はこうした富裕層とポップカルチャーを求める層は少し違うと指摘。「比較的若い世代が多く、特に韓国では『J−Wave2.0』と呼ばれる日本文化ブームが若者世代で起きており、日本のアニメなどに関心を持つ旅行者が増えている。百貨店でのポップカルチャーの発信は今後も新たな開拓余地がある」と話している。(清水更沙)

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