外国人は「ジブリパーク」を称賛するのに、なぜ日本人は「高い」と感じるのかスピン経済の歩き方(1/6 ページ)

» 2024年03月13日 07時16分 公開
[窪田順生ITmedia]

 「やっぱジブリってスゲーな」

 そんな会話が日本中で交わされたことだろう。3月11日、米アカデミー賞の長編アニメーション賞に宮崎駿監督の『君たちはどう生きるか』が見事選ばれたのである。日本のアニメがこの賞を受賞したのは、2003年の『千と千尋の神隠し』以来2度目となる。

『君たちはどう生きるか』登場シーンより(C)2023 Studio Ghibli(出典:徳間書店、以下同)
『君たちはどう生きるか』ポスタービジュアル(C)2023 Studio Ghibli

 ご存じのように、スタジオジブリ作品は世界中にファンがいて、日本人が驚くほど人気の高い国も多い。例えば、英国では23年10月8日よりロンドンのバービカン劇場で舞台『My Neighbour Totoro(となりのトトロ)』を上演。チケットが完売するほど盛況で、英国の舞台作品や産業をたたえる「WhatsOnStage Awards」では、最多9部門にノミネートされている。

 フランスでも23年、タペストリー制作がユネスコ無形文化遺産に登録されているオービュッソンで、『もののけ姫』の一場面を表現した巨大な織物がつくられ、美術館で展示されるなど話題になった。お隣の国・韓国でもジブリ人気はすさまじく、23年10月に公開された『君たちはどう生きるか』は公開初週に観客動員数1位となり、これまでに約201万人を動員した。

 そんな「外国人のジブリ人気」がうかがえるのが、愛知県長久手市にある「ジブリパーク」だ。22年11月、開園前の内覧会に訪れた海外メディアは「宮崎駿のレガシーが詰まった宝石のような場所」(米紙ワシントン・ポスト)、「ジブリの世界が完ぺきに再現されていて、びっくり」(ソウル新聞)などと大絶賛。

 その言葉の通りコロナ禍が明けると、長久手市には外国人観光客が殺到している。日本経済新聞の調査によると、ジブリパーク入場者のうち約3割が外国人観光客だという。

 しかも、ナビタイムジャパンの調査ではジブリパークがある「愛・地球博記念公園(モリコロパーク)」を訪れる外国人観光客は、ジブリパーク開園前は中国や台湾など近隣国からが多かったが、開園後は米国、カナダ、オーストラリアなどが大幅に増えている。アカデミー賞を追い風に欧米豪の観光客がさらに増えていくだろう。

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