分かりやすい例が、千葉県船橋市の「ふなばしアンデルセン公園」だ。ここも美しい自然が外国人観光客に人気だが、入園料は大人900円、小中学生は200円と「お手頃価格」に抑えられている。ジブリパークと同じようにアトラクションも別途かかるが、みな格安で、例えばポニーの乗馬が100円、パターゴルフが300円だ。
これが本来の「公園事業」である。だから、「高い」「価格と見合わない」などと指摘する愛知県民はある意味で正しい。今は外国人観光客がたくさん来て、国内のジブリファンも集まっているので、愛知県も強気の価格設定だが、公園事業として継続をする限り何年か経過したら、より多くの県民に利用をしてもらうために、アンデルセン公園くらいに「値下げ」をしなくてはいけない。
これは利用者にとってはハッピーだが、ジブリ的にはあまりいい話ではない。ジブリパークの「価値」が下がるということは、ジブリ自体の価値も下がる。ディズニーやハリーポッターはお金を貯めても行きたいけれど、ジブリは「公共」であり、待っていれば金曜ロードショーで流れるし、わざわざカネをかけるようなものではない、というイメージが広がる。
「誰もが楽しめる」と言うと聞こえはいいが、それは裏を返せば「わざわざカネを払ってまで楽しもうとは思わない」ということでもある。つまりは、ブランドの崩壊だ。
これを避けるには、ディズニーのように「価値」を釣り上げていくしかない。23年10月に金融専門メディア「ブルームバーグ」が報じたところによると、カリフォルニア州アナハイムにあるディズニーランドでは、祝日など最も人気の高い時期のシングルチケット料金は194ドル(約2万9000円)である。
テーマパークは生物のように常に進化を続けていくものだが、残念ながらジブリパークのような公園事業では無理な話だ。
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