「新鮮な魚」「とれたて」をアピールする店が、信用できない理由魚ビジネス(2/3 ページ)

» 2024年03月27日 09時00分 公開
[ながさき一生ITmedia]

 これらを考慮すると「とれたて」「新鮮」を本当に追求するならば、とても難しいことが分かります。獲れた直後の魚を仕入れたとしても、置いておけばみるみるうちに品質が変わるからです。

 このようなこともあり、飲食店にとって素材の仕入れと同じくらい大事になってくるのが「魚を止めない」ということです。

 つまりは、新鮮な魚を、仕入れては出し、仕入れては出し……という魚の回転を早くすることが大事になってきます。しかも、仕入れの方は自然環境という外的要因の影響も大きいですが、出す方は自分たちの努力や工夫で何とかなるところがもっぱらです。

魚の回転を早くすることが大事

 魚のことを分かっている飲食店は、「とれたて」「新鮮」を謳うことよりも、魚の回転を早めることを重視します。例えば、東京都中央区の月島にある、「魚仁(うおじん)」というすごいお店をご紹介しましょう。

 魚仁は、私が「魚の美味しいお店の典型」と思っている大衆居酒屋です。狭いお店でも席数が多く、単位面積当たりで多くの魚を回転させられる形になっています。

 さらには、注文から出るまでのスピードが早く、一皿あたりが大盛りで、お客の回転率も高くなっています。味も良く、価格も安いため、開店直後から店は満席状態。この状況が、魚の回転をさらに早めています。

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