小林製薬、遅きに失した決断 「ブランドに悪影響」紅麹原材料の納入先企業からも批判(1/2 ページ)

» 2024年03月27日 11時15分 公開
[産経新聞]
産経新聞

 小林製薬が製造・販売した「紅麹(こうじ)」のサプリメントを摂取したとみられる1人が腎疾患で死亡していたことが分かった。因果関係は不明だが、健康被害への不安が急速に広がっている。最初の症例の報告から自主回収まで約2カ月かかった。同社の紅麹原料でつくった製品の回収を余儀なくされた企業からは「もっと早く教えてくれれば」と情報提供の遅さを指摘する声が上がる。

「食べてしまったが、大丈夫でしょうか」

 食品を手がける福岡市の「ZERO PLUS(ゼロプラス)」には、自主回収を決めた同社の機能性表示食品「悪玉コレステロールを下げるのに役立つ 濃厚チーズせんべい」を購入した消費者から問い合わせが相次いでいる。今月15日に発売したばかり。小林製薬が開発した紅麹原料を使った商品だった。

 22日夜に連絡を受けて急いで販売を止めたが、1週間で出荷した約700袋のうち約320袋が消費者に渡っていた。一方、小林製薬も1日に同製品を紹介するリリースを出していることから、社内でも安全性の情報が共有されていなかったことがうかがえる。

 小林製薬は、健康被害の原因となる物質は特定できていないものの、サプリ以外で健康被害がでる可能性は低いとする。一方、企業52社に紅麹原料を販売しており、これらの企業に自主回収を呼びかける電話をかけ始めたのは22日午後5時の発表と同時だった。

 ある関西の食品会社は「連絡があったのは、記者会見の後だった」と連絡の遅さを批判。「商品ブランドに悪い影響が広がらなければいいが」などと不安を募らせた。

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