超異例! スタッフがほぼ「スキマバイト」の居酒屋、どのように教育や運営をしているのか長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/4 ページ)

» 2024年03月29日 10時25分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

気鋭の実業家が意気投合 当初は疑問視も多かった

 話を冒頭に戻そう。THE 赤提灯がオープンしたのは、23年5月22日。1階が立ち飲み、2階が座席ありで、総席数は64席で、顧客単価は3000〜4000円だ。

 同店が誕生した背景を、タイミーの松本知世氏(BX部 PRチーム)は次のように話す。

 「もともと当社とミナデイン社には、仕事上の取引がありました。代表同士にも交友があり『アルバイト全員がスキマバイトの店を出してみよう』と意気投合したようです」

 つまり、THE 赤提灯はミナデインの創業社長・大久保氏と、タイミーの創業社長・小川氏が共同で構想した、飲食店で深刻化する人手不足の解決策を探る事業なのである。

1階の立ち飲みスペース(提供:タイミー)

 新進気鋭の2人の実業家がチャレンジする、注目のプロジェクトとして始まったTHE 赤提灯だが、当初は疑問視する声も多かった。単発のスポットワーカーが、連日目まぐるしく入れ替わりながら、60席以上もある飲食店を回していくのは無謀ではないか、そんな意見だ。

 しかし、間もなくオープンから1年を迎えようとしているが、特に大きなトラブルがあったとの悪いうわさもなく、粛々と営業している。売り上げも順調だという。

2階では座って飲める(提供:タイミー)

本来は臨時の「スポットワーカー」を常時、入れ替わりで採用

 一般に飲食店がタイミーを活用するシチュエーションを考えると、レギュラーのアルバイトが何らかの事情で来られなくなったとき、あるいは大きな宴会が入ってレギュラーメンバーだけでは回せないと見込まれる場合などだろう。つまり本当に困ったときの緊急、臨時の助っ人が、スポットワーカーなのである。

2看板メニューの烏森ハイボール、キンキン三冷ホッピー。もつ煮込み、名物ミックス焼き(提供:タイミー)

 店からすると、上記のようなニーズがあるので、長期のアルバイトは望ましくない。募集したタイミングでは喉から手が出るほど欲しい助っ人でも、極端な話、翌日には、いや、数時間後にはその役目を果たして“不要”になってしまう。だからこそ、超短期のスポットワーカーを求めるのである。

 ところが、THE 赤提灯の場合は、そもそもレギュラーの長期アルバイトがおらず、常時スポットワーカーがシフトに入って営業している。「慣れない人ばかりが集まっても、なかなか戦力にはしにくいのではないのか」、そう感じるが実際はどうなのか。

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