話を冒頭に戻そう。THE 赤提灯がオープンしたのは、23年5月22日。1階が立ち飲み、2階が座席ありで、総席数は64席で、顧客単価は3000〜4000円だ。
同店が誕生した背景を、タイミーの松本知世氏(BX部 PRチーム)は次のように話す。
「もともと当社とミナデイン社には、仕事上の取引がありました。代表同士にも交友があり『アルバイト全員がスキマバイトの店を出してみよう』と意気投合したようです」
つまり、THE 赤提灯はミナデインの創業社長・大久保氏と、タイミーの創業社長・小川氏が共同で構想した、飲食店で深刻化する人手不足の解決策を探る事業なのである。
新進気鋭の2人の実業家がチャレンジする、注目のプロジェクトとして始まったTHE 赤提灯だが、当初は疑問視する声も多かった。単発のスポットワーカーが、連日目まぐるしく入れ替わりながら、60席以上もある飲食店を回していくのは無謀ではないか、そんな意見だ。
しかし、間もなくオープンから1年を迎えようとしているが、特に大きなトラブルがあったとの悪いうわさもなく、粛々と営業している。売り上げも順調だという。
一般に飲食店がタイミーを活用するシチュエーションを考えると、レギュラーのアルバイトが何らかの事情で来られなくなったとき、あるいは大きな宴会が入ってレギュラーメンバーだけでは回せないと見込まれる場合などだろう。つまり本当に困ったときの緊急、臨時の助っ人が、スポットワーカーなのである。
店からすると、上記のようなニーズがあるので、長期のアルバイトは望ましくない。募集したタイミングでは喉から手が出るほど欲しい助っ人でも、極端な話、翌日には、いや、数時間後にはその役目を果たして“不要”になってしまう。だからこそ、超短期のスポットワーカーを求めるのである。
ところが、THE 赤提灯の場合は、そもそもレギュラーの長期アルバイトがおらず、常時スポットワーカーがシフトに入って営業している。「慣れない人ばかりが集まっても、なかなか戦力にはしにくいのではないのか」、そう感じるが実際はどうなのか。
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