このように、THE 赤提灯では事前の研修と仕事の整理によって、スポットワーカーを戦力化している。働いている人は、18歳から60代まで年齢や性別もまちまち。学生や主婦だけでなく、最近は社員の副業を認める企業も増えてきたことから、本業を持ちながら働く人も多い。
飲食店に興味を持っていながら、体験する機会がなかった人にとって、THE 赤提灯は最初の一歩を踏み出す、またとない入口の役割を果たしている。
飲食店では人手不足に苦しみながらも、長期かつ安価に仕事ができる若い人を雇おうとするから、人が集まらない面もある。デフレと不況で人が余っていて、いくらでも代わりに雇える人がいたころの発想から転換できていないのだ。
THE 赤提灯の取り組みは、企業視点だけではなく働き手視点でも重要だ。THE 赤提灯でキャリアを積み、初心者のスポットワーカーからステップアップすることで、長期の採用、さらには社員へとキャリアを進め、飲食業界の貴重な人材となっていくことを、タイミーでは期待している。「引き抜きも大歓迎」とうたっているほどだ。
飲食各店は、安価で働いてくれる日本語もままならないアジア諸国の留学生をアルバイトに雇う前に、日本人が働きやすい環境を整えるべきなのではないか。日本にはまだまだ、飲食店で一度働いてみたい、アルバイトをしたい人材が、チャンスをつかめず眠っている。
スポットワーカーにも研修を実施し、キャリアアップの機会を与えているTHE 赤提灯の試みが、東京のみならず、全国主要都市に広がっていってほしいと思う。
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。著書に『なぜ駅弁がスーパーで売れるのか?』(交通新聞社新書)など。
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