はっきり言おう 「カフェ」の運営は難しい「ワイヤードカフェ原宿」からスタート(2/4 ページ)

» 2024年03月30日 08時00分 公開
[入川ひでとITmedia]

 僕がカフェを始めた原点は、言ってみればボランティア精神でした。地域のため、そこに住んでいる人のために、汚いところをきれいにしよう。この街はポテンシャルがあるからもっとよくしよう。こういう思いが先にあったので、僕にとってのカフェはその目的を実現するための手段という面がありました。

 こういった目的意識は、これからカフェを始める人にとっても大事だと思います。ただ単にカフェをやりたいからスタートするのではなく、何か目的があり、そのためにカフェをやる。このような信念がないと、すぐ挫折してしまうでしょう。

 カフェは参入がしやすいことは確かですが、原価も手間もかかります。事業として続けることが簡単なわけではありません。飲食業でもうけたいだけであれば、カフェよりは蕎麦とか中華のほうが原価も抑えられるという面はあります。カフェを開く以上は、継続できる程度は利益を上げてほしいと思います。継続できなければ、コミュニティづくりや街づくりにもつながりません。

 カフェのビジネスがいい循環に入れるかどうかは、地域の望むものを提供できているか、という点に尽きると思います。お客さんに喜んでもらえれば、その人が自然と他のお客さんを連れてきます。地域のカラーをまったく考慮せずに自分のこだわりでおいしい料理をつくって、遠方のお客さんを呼んでもカフェとしては失格です。

 その場所で何をして、どんな人のニーズを満たすのかを定めなければ、たとえカフェを開いてもムダに終わるでしょう。その意味で、飲食としてカフェを捉えてはダメなのです。単なる飲食店という枠を飛び越えるような高い志がない限り、好循環は生まれないと思います。

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