佐川急便は積み降ろしで革新的車両 物流業界「2024年問題」を変革の好機にできるか(3/3 ページ)

» 2024年03月30日 07時30分 公開
[産経新聞]
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値上げで待遇改善も

 佐川急便は令和5年4月に宅配便の基準運賃を5年半ぶりに値上げした。「下をくぐりながら荷物の取り合いをしてきたが、どこかが先陣を切らなければならなかった」(川村博之広報担当部長)。値上げ分は協力会社を含めたトラック運転手の待遇改善の原資にした。6年4月には2年連続で値上げを実施する。荷主が強く、値上げが通りにくい物流業界だが、こうした動きは各社に広がりつつある。

 「働ける時間が減れば業界全体で稼げなくなる。若手が入ってくるには、賃金と労働環境の改善が両方必要だ」。鴻池運輸の30代のトラック運転手は心中を吐露する。

 運転手不足が一段と顕在化すれば、物も人も動かずに経済活動や人々の生活に深刻な影響が出ることが懸念される。荷主や物流事業者の行動、働く人や消費者の意識、商慣行など、あらゆるものの変容が求められる。2024年問題は長年変われなかった物流業界が変われる好機でもある。(万福博之)

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