液晶巡る決断迫られるシャープ 成功体験を捨て抜本策を打ち出せるか(1/2 ページ)

» 2024年04月09日 09時10分 公開
[産経新聞]
産経新聞

 シャープが液晶ディスプレー事業を巡り、決断を迫られている。3月、堺市の液晶パネル工場を所有・運営する完全子会社「堺ディスプレイプロダクト(SDP)」に関し「生産停止を視野」と一部で報道されたが、同社広報は「業績回復に向けあらゆる可能性を検討しており、現時点で決定したものはない」と説明する。ただ、関係者は「赤字が続く状況は変わらず、電気代の負担も大きい。止血は急がなくてはいけない」と打ち明け、5月にも発表する中期経営計画に何らかの方針を盛り込むとみられる。

成功体験

 同社にとって液晶ディスプレー事業は特別な意味がある。昭和48年に液晶表示電卓を発売し、世界に先駆けて液晶技術を実用化。量産化にも成功し、ノートパソコンやビデオカメラなどから採用が広がり、テレビに搭載されてブラウン管に代わるディスプレーに進化させた。

 平成10年、町田勝彦社長(当時)は「21世紀には国内でブラウン管を液晶テレビにすべて置き換える」と宣言。16年に液晶パネルの亀山工場が稼働すると「亀山モデル」の液晶テレビは爆発的にヒット。「液晶のシャープ」として家電の勝ち組になった。同社OBは「シャープはブラウン管を自社生産できずにテレビに他社製を搭載してきた1.5流企業のコンプレックスを液晶の成功体験ではねかえした」と語る。

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