阪神タイガースが日本一になった昭和60年当時、甲子園球場で販売されていたのはアサヒビールだけだった。他社との競合が激しく、当時のアサヒビールは窮地に陥っていたが、それを救ったのが阪神。球場で多くの観客がのどを潤すために次々とビールに手を伸ばした。その後、スーパードライが生まれ、業界首位に躍り出た。
西宮市で育った作家の佐藤愛子の著書「愛子」(角川文庫)に、こんな一文がある。「停車場前の広場に立っている銅像は袴(はかま)をはいた背の高いおじいさんだった。右手に扇子を持って、高い台座の上でプラットホームの方を睨(にら)んでいる。(中略)わたしはその広場がすきだった」
「背の高いおじいさん」とは、戦前の甲子園駅前に立っていた外山脩造像のこと。広場の中に粛然と立つ銅像は、地元の人々にとっても実に大きな存在であり、名所だったのだろう。
その外山氏と深い関係にあったアサヒビールの復刻。向井球場長は「ビールを飲みながらの野球観戦は日本の観戦スタイル。100年前にはこういうビールが飲まれていたんだなとイメージしながら飲んでいただけたら」。甲子園100年の歴史を感じるノスタルジーたっぷりの一杯に違いない。(嶋田知加子)
アサヒクラシック 1杯800円。専用の売り子、場内店舗などで販売。催事がない日は球場外周の「ストライク軒NOODLE STUDIO」でも飲める。なくなり次第終了。
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