甲子園球場100年前のビールが復刻 当時、商品が生まれたきっかけは?(3/3 ページ)

» 2024年04月13日 12時12分 公開
[産経新聞]
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業界首位の立役者

 阪神タイガースが日本一になった昭和60年当時、甲子園球場で販売されていたのはアサヒビールだけだった。他社との競合が激しく、当時のアサヒビールは窮地に陥っていたが、それを救ったのが阪神。球場で多くの観客がのどを潤すために次々とビールに手を伸ばした。その後、スーパードライが生まれ、業界首位に躍り出た。

 西宮市で育った作家の佐藤愛子の著書「愛子」(角川文庫)に、こんな一文がある。「停車場前の広場に立っている銅像は袴(はかま)をはいた背の高いおじいさんだった。右手に扇子を持って、高い台座の上でプラットホームの方を睨(にら)んでいる。(中略)わたしはその広場がすきだった」

 「背の高いおじいさん」とは、戦前の甲子園駅前に立っていた外山脩造像のこと。広場の中に粛然と立つ銅像は、地元の人々にとっても実に大きな存在であり、名所だったのだろう。

 その外山氏と深い関係にあったアサヒビールの復刻。向井球場長は「ビールを飲みながらの野球観戦は日本の観戦スタイル。100年前にはこういうビールが飲まれていたんだなとイメージしながら飲んでいただけたら」。甲子園100年の歴史を感じるノスタルジーたっぷりの一杯に違いない。(嶋田知加子)


アサヒクラシック 1杯800円。専用の売り子、場内店舗などで販売。催事がない日は球場外周の「ストライク軒NOODLE STUDIO」でも飲める。なくなり次第終了。

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photo 復刻ビール『アサヒクラシック』を手にする客席販売員=甲子園球場(中島信生撮影)
photo 復刻ビール『アサヒクラシック』を手にする客席販売員=甲子園球場(中島信生撮影)
photo 甲子園球場で限定販売されている「アサヒクラシック」。カップには球場をモチーフにしたデザインが施されている
photo 甲子園球場で限定販売されている「アサヒクラシック」。カップには球場をモチーフにしたデザインが施されている
photo 記念撮影で「アサヒクラシック」を手に乾杯する向井格郎・甲子園球場長(左)とアサヒビールの西村壮一郎・新ブランド開発部長=甲子園球場(中島信生撮影)
photo 記念撮影で「アサヒクラシック」を手に乾杯する向井格郎・甲子園球場長(左)とアサヒビールの西村壮一郎・新ブランド開発部長=甲子園球場(中島信生撮影)
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