甲子園球場100年前のビールが復刻 当時、商品が生まれたきっかけは?(1/3 ページ)

» 2024年04月13日 12時12分 公開
[産経新聞]
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 100年前に愛飲されていたビールをアサヒビールが再現し、8月に開場100年を迎える甲子園球場(兵庫県西宮市)で今季限定販売されている。深いコクと苦みが特徴の「アサヒクラシック」。アサヒビールは「100年前の文献をひもとき、かなり(当時に)近しい味になっている」と胸を張り、球場側も「歴史に新たな一ページを加えるもの」と期待を寄せる。ともに力の入った「一杯」が復刻された背景には、球場を運営する阪神電鉄とアサヒビールとの深いつながりがあった。

深いコクと苦み

 甲子園球場は大正13(1924)年、日本最古の本格的な野球場として誕生した。向井格郎球場長によると、販売元は不明だが、開場した年にビールが売られていたことは分かっており、野球観戦にビールというのは当時からの定番だったようだ。

 アサヒビール新ブランド開発部の西村壮一郎部長によると、アサヒクラシックは約3年前から開発を手掛けてきたという。

 同社資料室に保管されていた約90〜100年前の文献をひもとくことからスタート。複数の商品レシピから、ベースにしたのはアサヒビールの前身「大阪麦酒会社」が明治25(1892)年に販売開始した「アサヒビール」のレシピで、当時の作り方と原材料から味を推測しながら、4度の試作を繰り返したという。

 完成したのは、麦芽と米を使用したピルスナータイプの明るい黄金色をしたビール。人気ブランド「スーパードライ」と比較すると、苦みとコクがかなり強く、いわば昔ながらの味わい。当時とは工場の設備環境も異なるため「全く(当時と)同じ味になっているとは思っていないが近しいものにはなっている。あえて、かなりのコクと苦みを残す。そこの製法にすごくこだわって作った」(西村部長)。

 ビールを注ぐカップにもこだわった。球場の輪郭をモチーフに、球場外観を想起させる深緑色のロゴが描かれ、特別感を醸し出している。

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