新人よりも経営者の方が苦手? 「相談」がもたらす4つのメリット【新連載】ビジネスを成功に導く「相談の力」(3/3 ページ)

» 2024年04月15日 07時00分 公開
[山中哲男ITmedia]
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“相談”でチャレンジする人を応援したい

 飲食店経営の後、チャレンジする人を応援したいと事業支援を開始しました。私が25歳の時には讃岐うどんチェーン「丸亀製麺」(運営:トリドール)の海外1号店となるワイキキ店(ハワイ)の進出をサポートしました。ワイキキ店は今なお全店舗売り上げ1位を誇っています。

 その他にも、今では年間40万人が訪れる人気スポットになった淡路島の西海岸エリアの開発や、安藤忠雄氏が設計監修したJR大阪駅北側(うめきた)に位置する施設のプロジェクトに複数の民間企業を率いて参画しています。2025年大阪・関西万博では、経済産業省や内閣官房などと官民連携で、万博後も継続して事業化を支援するプロジェクトを立ち上げています。

 上記は携わっているプロジェクトの一部ですが、宿泊や飲食の他、医療、宇宙、ヘルスケア、物流、教育、エネルギーなど、多岐にわたる分野で挑戦を続けています。

 挑戦する私の背中を押し、成果に導いてくれたのもやはり相談です。行き詰っている目の前の状況を打破できるだけではなく、相談すればするほど共感し合える応援者が増えていきます。

 年齢や業界、職業を問わず緩やかなネットワークでつながった応援者が増えると、何をするにも相談相手がいる状態になります。その結果、より挑戦できることが増えるといういい循環が生まれるのです。すぐ成功へつながる近道は残念ながらありませんが、これは私の実体験から確信をもって言えます。

 「行き詰る」→「相談する」→「行動する」のサイクルを回した数だけ経験と人的ネットワークが積みあがっていくのです。先ほど近道はないとお伝えしましたが、裏を返せば、積み重ねれば他の人は簡単に追随できない経験です。ぜひ今から相談を活用してください。とにかく相談は遅いより早いほうがいいです。しかも相談は誰でも今すぐできます。

相談による4つのメリット

 相談するメリットは大きく4つあります。

 1つ目は「思い込み」にツッコミをもらえ、思い込みを外せること。実際、私が工場を辞めた時に友人に言われた「自分で稼いだら?」も相談から生まれました。

 2つ目はネクストアクションが見つかり、行き詰った状況を打破できること。先述した相談を起点に物件を紹介してくれたり、野菜の仕入れ先を紹介したりしてくれたイメージです。

 そして3つ目は、やりたいことに共感してくれる「応援し合える仲間」が増えること。相談時に「目的」と「原体験」を相手に伝えることで、雪だるま式に増えていきます。

 最後のメリットは、やりたいことの解像度が上がる点です。私自身、解像度を上げることなくして焼鳥居酒屋の成功はありませんでした。

 第2回目以降は、相談のポイントやタイミング、相談相手の選び方を詳しくお伝えします。

相談Q&A

Q:誰よりも自分がお客さまに向き合っているので他者に相談する意味を感じない。なぜ相談する必要があるのか教えて欲しい。

A:他社に相談するのは、お客さまに出せる価値が限定的になり、結果としてパフォーマンスが低くなるからです。恐らく、お客さまと向き合う=時間を一番使っていると思っているのだと想像します。しかし、本当にお客さまのためになることは、課題に対する解決策の可能性や選択肢を広げることです。自分一人が得た情報や知識をいくらお客さまに伝えても、提案の幅は広がりません。つまり、一人だけで考えても幅広い可能性や選択肢を提案できないのでパフォーマンスが上がらないと言えます。ぜひ一度、信頼できる他者に相談してみてください。

著者プロフィール

トイトマ 代表取締役社長 山中哲男

相談

1982年兵庫県生まれ。事業開発、事業戦略立案の専門家。2003 年に新規事業開発支援、既存事業の戦略立案をハンズオンで支援するインプレス(現:トイトマ)を創業し、代表取締役に就任。米国ハワイ州にて日本企業に対し、海外進出支援、店舗M&A 仲介にも従事し、丸亀製麺の海外1 号店などを支援。19 年に地域開発の新たなファイナンススキームを構築し展開するため、NEC キャピタルソリューションと共にクラフィットを創業し代表取締役に就任。他にも複数の企業の取締役、中央省庁政府の有識者委員・アドバイザー、大阪・関西万博2025事業家支援プロジェクトチームサブリーダーなどを務める。近著に『相談する力 一人の限界を超えるビジネススキル』(発行元:海士の風、発売元:英治出版)がある。


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