中小企業の脆弱ホームページ 放ったらかすと“身代金”要求されるかも(1/3 ページ)

» 2024年04月22日 08時59分 公開
[産経新聞]
産経新聞

 中小企業でホームページ(HP)を乗っ取られる被害が全国的に多発している。大阪商工会議所の調査では7割弱のHPに危険性が認められた。万一乗っ取られれば、個人情報が抜き取られたり、取引先のネットワークをウイルス感染させて損害賠償を求められたりと企業の存続が脅かされてしまう。官民一体となって国内のサイバー環境を強固にしなければ、有事の際に脆弱(ぜいじゃく)な中小企業のHPが攻撃され、日本経済の屋台骨が揺らぎかねない。

photo ホームページが改竄され、取引先や顧客に迷惑をかけたとするお知らせを現在も掲載する鹿児島王将のサイト

 昨年8月、鹿児島県内で「鹿児島餃子の王将」を展開する鹿児島王将(鹿児島市)のHPが突然、弁護士事務所の名で「業績悪化のため破産手続きを始めた」などと改竄(かいざん)され、HPを乗っ取られるリスクが広く知られるようになった。

 同社はすぐ改竄に気づき、取引先に「破産は事実無根」と連絡したため大きな実害はなく、自社HPを通じてコンピューターウイルスがばらまかれた形跡もなかった。稲盛幸広社長は「思いもしなかった被害でしたが、サイバーセキュリティーのいい勉強になりました」と打ち明ける。

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