飛行時間わずか約7分−。沖縄本島から東に360キロほど離れた南大東島と北大東島を結ぶ「日本一短い航空路線」が7月末の運航を最後に廃止される。8月以降、両島間の航空機での移動は700キロ以上も遠回りしなければならず、地元では観光への影響を懸念する声も出ている。プロペラ機が1日に片道1便だけ飛ぶローカル路線ながら、高い利用率を誇る離島の生命線。直線距離約13キロの最短航路はなぜ姿を消すことになるのか。
「10分と短い時間ではございますが、ごゆっくりお過ごしください」
北大東空港の滑走路を飛び立った50人乗りのプロペラ機。南北の大東島を結ぶ便でしか聞けないキャビンアテンダントの機内アナウンスだ。
窓外に紺碧(こんぺき)の海が見えると、離着陸に使うランディングギア(降着装置)のタイヤが胴体に格納された。気象条件が良ければ有視界飛行となり、ほぼ直線のコース。視界不良の際は計器飛行になるため、約63キロの大回りコースをたどる。
時刻表上でのフライト時間は20分だが、この日、タイヤが格納されていた時間は4分だった。
シートベルト着用サインは点灯したまま。当然、飲み物の機内サービスもない。上昇したかと思うとすぐに着陸体勢に入り、北大東空港を離陸してから7分20秒ほどで太平洋に浮かぶ絶海の孤島、南大東島の空港にランディングした。
航空業界では「クリティカル・イレブンミニッツ」という言葉がある。離陸時の3分と着陸時の8分を合わせた11分間に航空機事故が最も起こりやすく、「魔の11分」とも呼ばれるが、日本の最短航路は通常の着陸の際の8分にも満たない飛行時間なのだ。
copyright (c) Sankei Digital All rights reserved.
Special
PR注目記事ランキング