飛行時間7分、“日本一短い航空路線”廃止へ 利益率は高いのになぜ?(2/4 ページ)

» 2024年04月27日 11時04分 公開
[産経新聞]
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利用率は高いのに…

 離島路線を運航する琉球エアーコミューター(RAC)によると、この路線が開設されたのは平成9年10月。沖縄本島の那覇空港を基点に北大東島、南大東島を経由して再び那覇へと戻る三角形のルートで、片道だけの運航だ。曜日によって逆回りのコースをたどる。

photo 窓外には紺碧の海が広がっていた=3月18日、沖縄県北大東村(大竹直樹撮影)

 使用される機材はDHC−8−400CC型機。機種名の末尾にある「CC」はカーゴコンビの略で、貨客混載であることを示している。

 RACの担当者は「沖縄の物流を考えて、世界に5機しかない特別仕様になっている」と誇らしげに語った。通常は定員70〜80人乗りの機材だが、特別仕様の機材は客室を定員50人とし、貨物室のスペースを広げて生鮮食品などを運んでいるという。

 南大東島の製糖業の取材のため、筆者が搭乗したのは3月の平日だった。ほとんどの席は埋まっていたが、沖縄の離島路線にしては珍しく、観光客の姿はまばら。多くは用務客のようだった。

 全国で需要が落ち込んだ新型コロナウイルス禍でも、南北の大東島を結ぶ航路は高い利用率を維持。北大東村の担当者は「需要が多く、飛行機(の席)が全く取れないときがある」と語る。

 ことほどさように需要はあるのに、なぜ7月末で運航を終了することになったのか。

 RACは「乗り換えなしの直行便とすることで、座席数を増やすことにした」と説明する。

 廃止されるのは三角形を描くように経由地をたどる「三角運航」で、南北の大東島と那覇空港はそれぞれ直行便で結ばれる。南大東島は1日1.5往復から2往復に、北大東島は0.5往復から1往復に増便となり、その分、利用できる座席数も増えるというわけだ。

 これまでの三角運航では経由地の空港で必ず乗り換えを強いられた。

 これが8月以降、直行便になると解消される。那覇からの所要時間は30分〜1時間程度短縮されるため、RACは「島と那覇のパイプが太くなる」とメリットを強調する。

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