リニア大阪延伸で静岡の次の火種は? 「京都VS.奈良」古都バトル (1/2 ページ)

» 2024年05月05日 17時02分 公開
[産経新聞]
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 リニア中央新幹線東京(品川)−大阪間の整備をめぐり政府では、6月に閣議決定する予定の経済財政運営の指針「骨太の方針」で開業時期を13年後の「最速令和19(2037年)年」と改めて明示する方向で調整が進む。静岡工区の着工を認めない静岡県知事の辞職で建設に弾みがつくことが期待されるが、名古屋以西はルートの詳細が確定していない。駅誘致を狙う思惑が関西側に足並みの乱れを生じさせていることもあり、目標実現には課題が山積する。

photo 実験線を走行するリニア中央新幹線の「L0系」改良型試験車両=山梨県笛吹市(平尾孝撮影)

 JR東海は品川−名古屋間を令和9(2027)年に開業させる予定だったが、静岡県の川勝平太知事が工事で大井川の流量が減ることなどを理由に静岡工区の着工を認めず、先延ばしを余儀なくされた。だが、川勝氏は職業差別とも受け取られかねない発言で辞職を表明。今月9日に告示される知事選はリニアが争点化しており、選挙後の着工に期待が高まる。

 ただ、鉄道アナリストの川島令三氏は「13年後の大阪開業は技術的に可能だとはいえ、実現は簡単ではない」との見方を示す。リニア大阪開業を最大で8年前倒しの令和19年とするため、国は平成28〜29年にJR東海へ3兆円の財政投融資を行ったが、こうした公的資金投入はルート面での政治介入を招き、かえって開業時期に影響を及ぼすとの懸念があるからだ。

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