広告業界の倒産が増えている。東京商工リサーチが調査結果を発表し、2024年1〜4月における同業界の倒産は前年同期比で37.9%増の40件だった。同期としては2015年以来、9年ぶりに40件台となった。このまま推移すると、コロナ禍前の2019年以来、5年ぶりに年間100件以上の倒産が発生する可能性がある。
コロナ関連支援などもあり、広告業界の倒産は2020年以降、4年連続で年間100件を下回っており、2022年の56件は1989年以降の最少件数を更新した。しかし、各種支援の終了・縮小とともに、悪化した業績の立て直しが遅れた事業者の淘汰が目立ち始めている。その結果、2023年は前年比46.4%増となる82件まで急増した。
その後も倒産は増え、2024年2月は単月として11カ月ぶりの10件台となる12件が発生。以降も3月は11件、4月が10件で3カ月連続の10件台となり、リーマン・ショックや東日本大震災以来の高水準で倒産件数が推移している。
倒産を負債額別にみると「1億円未満」の企業が37件で全体の92.5%を占めた。内訳は「1000万〜5000万円未満」が29件、「5000万〜1億円未満」が8件、「1億〜5億円未満」が3件だった。
経済活動や人流が本格的に戻り、広告需要も回復しているものの、デジタルシフトの必要性が増すなど、業界が直面する環境は大きく変化している。東京商工リサーチは「顧客の新たなニーズに対応できない広告関連業者を中心に、淘汰が加速し倒産は増勢をたどる」と分析する。
2024年1〜4月に全国で発生した倒産のうち、日本産業分類の「広告業」「広告制作業」を集計・分析した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング