パスワードは「123……」でいいの? 管理者が“少しずつ”変えるべきこと破られ方は4つ(2/6 ページ)

» 2024年05月23日 06時00分 公開

パスワードの破られ方

 パスワードの破られ方を今回は4つに分けて説明していきます。

 先に4つを挙げておくと、(1)総当たり(ブルートフォース)攻撃、(2)辞書(ディクショナリ)攻撃、(3)総当たりと辞書の逆パターン(リバースブルートフォースなど)、(4)リスト型攻撃です。それでは1つずつ紹介していきます。

(1)総当たり(ブルートフォース)攻撃

 ブルート(brute)はあまり聞きなれないかもしれませんが、「野蛮な、強引な、力任せな」といった意味で、力任せに全部試す攻撃です。例えば南京錠みたいな形のものや扉でもありますが、数字が4桁なら0000から9999までの1万通りを試せばいつかは破れるだろうというものです。

 これは、パスワードの鉄則1つめの「短い文字列を使わないこと」と対応しています。最近のシステムでは、何回か試すと一定時間ログインできなくなるものがありますが、長い時間をかければいつかは破られてしまう恐れがあります。短ければ短いほど破られやすく、仮に1ケタなら10回試せば破れてしまいます。

(2)辞書(ディクショナリ)攻撃

 辞書というのは、よくパスワードに使われるさまざまな文字列が登録されたテキストファイルで、そこに書かれた文字列を順番に試していく攻撃です。辞書には、多くの人が付けてしまいがちな文字列が登録されています。例えば、8文字しか使えないシステムの場合は、passwordや12345678、キーボードの横並びの文字列を使ったasdfqwer、その他に縦や斜めのパターンなどもあります。

 人名、地名、文字の置き換え表現(アルファベットの「T」を数字の「7」や、「A」を「@」など)もあります。ほかにはセキュリティベンダーから発表される、最も多く使われたパスワードランキングの上位の文字列です(パナマのセキュリティ企業であるNord Securityが発表する「世界で最も利用されたパスワードTop200」など)。それだけ多く利用されているなら、それを使えば破れるんじゃないか、ということです。

 これは、パスワードの鉄則の2つめの「推測可能な文字列を使用しない」と対応しています。自分が思い付くものは他人(攻撃者)も思い付くということです。

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