――どのような調査を行ったのでしょうか。
河野: 生活者の「買物欲」を高めるためにマーケターが刺激していくべき“ツボ”を見つけるために、私たちは「買物欲大調査」と銘打ってさまざまな調査を行いました。
SNS投稿の全量データ分析、大手出版社の元編集長の方々や大手小売企業のバイヤーの方々へのインタビュー、また生活者のナマの声を集めることも意識し、生活者へのアンケートや直接インタビューも実施しています。そのような調査を通じ、幅広い視点での“良い買物体験”の事例を収集しました。
飯島: そして、収集したこれらの“良い買物体験”の事例を、延べ1万シーンにわたる定量リサーチで検証しました。食品・飲料から家電・電化製品まで幅広い商品カテゴリーにおいて、スーパー、EC通販などどんな場所で買う時に、“何が買いたい気持ちを盛り上げてくれるのか”――その要素を検証しました。
そして検証の末に集約された20の要素を、令和の“買物欲を刺激する20のツボ”として独自定義したのです。
――令和の“買物欲を刺激する20のツボ”には、どのようなものがあるのでしょうか。
飯島: 20のツボを読み解いていくと、2つの観点が見えてきました。
「買物欲のコントロール方法」については、買いたい気持ちを増幅させる「BOOST」タイプと、買いたい気持ちが流れないように維持する「KEEP」タイプのツボがあります。「買物欲を刺激する方法」については、感情に訴えかける「LOVE」タイプと、理性や理由で訴えかける「REASON」タイプのツボに分けられます。
――特徴的な分類ですね。「BOOST」「KEEP」「LOVE」「REASON」とはそれぞれどのようなものなのでしょうか。
河野: 「BOOST」タイプは、刺激されると“つい買いたくなってしまう”けれども、刺激されないからといって“買いたい気持ちが下がるわけではない”、そういった性質を持ちます。「KEEP」タイプは、買物欲を維持することができます。“それを押さえておかないと買いたい気持ちが下がってしまう”が、たくさん刺激し続けたからといって、“買いたい気持ちが上がるわけではない”、そんな性質があります。
瀧本: 「LOVE」タイプは、“買いたい、これがいい”という自分自身の選択基準に関わります。「自己投資」というツボは、なりたい自分になるための“投資”につながる、と感じると買物がしたくなるという性質を指します。よく“自分へのご褒美(ほうび)”という言葉を聞きますが、それだけではなく、“頑張るために、気合を入れるために”先に買ってしまう――こんな行動も「自己投資」の顕(あらわ)れです。
「REASON」タイプは、“これでいいか”というタイプのツボです。例えば、何が人気なのか、他のみんなと比較してどうなのか、など“買ってもいいと思える理由を作る”ものです。
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