コロナ禍で大打撃を受けた旅行・宿泊業の業績が急回復している。東京商工リサーチが調査結果を発表し、宿泊業の80%が増収を見込むほか、両業界の法人設立が急増していることが分かった。
2023年における旅行・宿泊業の新設法人数は1560社で、前年(981社)から大幅に増加した。コロナ禍以前である2019年の1621社には届かなかったものの、直近10年間では2番目に多く、コロナ禍を経て観光業界に活気が戻りつつある。
旅行業の新設法人は520社で、前年(273社)から約2倍に増加。直近10年間で過去最多を更新した。宿泊業は1040社で、4年ぶりに1000社台に乗せた。
旅行業の新設法人数を地区別に見ると、最多は「関東」(250社)。「近畿」(117社)、「九州」(64社)が続いた。都道府県別では「東京都」(176社)、「大阪府」(78社)など大都市圏を筆頭に、観光地として人気が高い「北海道」(30社)や「沖縄県」(19社)で新設が目立った。
宿泊業も新設法人が最も多かったのは「関東」(435社)。旅行業同様に「近畿」(205社)、「九州」(127社)が続いた。都道府県別のトップ3は「東京都」(296社)、「大阪府」(116社)、「北海道」(55社)。外国人観光客に人気の高いスノーリゾートで新設法人が多かったこと受け、東京商工リサーチは「観光庁が令和2(2020)年度から『スノーリゾート形成促進事業』として、支援していることも背景にある」と分析する。
日本政府観光局(JNTO)によると、2024年1〜5月の推計訪日外客数は約1464万人で、2019年同期(約1375万人)を上回った。通年でも過去最高だった2019年(約3188万人)を上回る勢いで推移しており、同社は「インバウンドがけん引する活況を一過性で終わらせず、地方の活性化につなげられるかが今後の課題」とコメントした。
2023年の新設法人から、日本標準産業分類に基づく旅行業と宿泊業の全法人を抽出、分析した。
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