ホラービジネスはその特性上、コンプライアンス上のリスクも抱えている。当然、制作物にはフィクションであることを明示しなければならない。また、実際の事件などを連想させないよう、登場人物の「亡くなり方」にも慎重な配慮が求められるという。
「『人を傷つけないお笑い』に人気の波が来たように、『人を傷つけるホラー』を忌避する風潮も感じ始めています。お笑いから5年くらい遅れてやってきている印象ですね。
僕らがつくりたいホラー表現も『みんながハッピーに楽しめるエンタメ』なので、今の時代の倫理観に合った『人を傷つけないホラー』を模索していきたいと思います。とはいえ、アップデートの波は激しいものがありますね」
闇ではAI活用も進む。先述した『つねにすでに』では、チャットサービスDiscord上で対話できるAIボットを開発。ホラージャンルにおける新境地の開拓に挑んでいる。
テキスト生成AIは高精度である反面、発展途上の技術でもある。その「不完全さ」が、ホラー領域ではかえって生きる場合もあるという。
「ホラーに生成AIを持ち込むと、『怪異的な存在と対話できる』という体験をつくれます。“脳をだます没入感”が僕らの目指している領域なのですが、対話が成立するAIであれば、架空の人格だと頭では理解していても、恐怖あるいは愛着といった強い感情を喚起させられるのです」
またAI活用は、コンテンツのグローバル展開も加速させていく足掛かりになるという。頓花氏は「Jホラー」(日本が生んだホラーコンテンツ)は世界にも通用するとした上で、展望を次のように語った。
「AIが発達すれば、言語や文化の垣根は今後さらに低くなっていくはずです。最新のテクノロジーをうまく活用して、これまで国内で主に消費されてきた日本のホラーを、海外に届けていくような挑戦もしていきたいと思います」
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