令和の時代にホラーブームが再燃している。もちろん昔からホラーというジャンルは一定数のファンがいたが、昨今は支持層の中心がZ世代や女性であることが特徴的だ。コンテンツの形態も楽しみ方にも新しい傾向が見られる。
ヒットコンテンツを生み出し続ける株式会社闇(東京都港区)の創業者でプロデューサーでもある頓花聖太郎氏に、ホラービジネスの最新事情を聞いた。
闇はWeb制作会社の社員だった頓花氏が、2015年に社内起業で立ち上げた会社だ。イベント事業のほかホラーVRやゲームなど、ホラーとテクノロジーを組み合わせたコンテンツ制作を主な事業領域としている。
同社はホラーに特化したビジネスが注目され、設立時から話題に。ネット上での話題づくりを強みとし、ホラーコンテンツの支持層でもあるZ世代向けプロモーション事業の引き合いも多いという。闇が企画・プロデュースしたゲーム作品は多くのYouTuberに実況され、その累計再生回数は約5000万回に及ぶ。
今年、同社が渋谷と横浜で開催した考察型展覧会『その怪文書を読みましたか』は、累計1万人以上を動員。人気ホラー作家・梨と手掛けるWeb連載ホラー作品『つねにすでに』は公開から約1カ月半で100万PV(ページビュー)を突破。現在は150万PVを達成する勢いだ。
7月19日から開催するホラーイベント『行方不明展』のチケットも、6月末時点で3000枚を超える売れ行きだという。2023年度の業績は過去最高益を記録し、「今年度もかなり好調」だと頓花氏は手応えを感じている。
同社の設立時、意識していたのは同じくデジタルを駆使した体験コンテンツに強みを持つチームラボ(東京都千代田区)だったという。チームラボと同じ土俵ではなく、あえて「恐怖」をテクノロジーによって喚起できないか考えたと、頓花氏は創業期を振り返る。
「ホラーの原体験として、若い頃に読んだホラー小説があります。脳の想像力に直接働きかけるホラー小説って本当に怖い。恐怖の感情は脳でつくられるもので、外的刺激はあくまでトリガーというのが私の考え方です。物語に没入させるツールという意味では、テクノロジーのインタラクティブな仕掛けとも相性が良いんです」
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