冒頭に書いた通り、日本企業においても「モンスター株主」が現れてきた。企業の株式総会において、本質とは異なる要求を行う株主のことである。株式分割により株価が下がり、投資のハードルが低くなることで、バフェットが指摘した通り株主の質も下がり、総会における質疑応答のレベルが低下しているのだ。
上場企業は「株主1人を管理するコスト」についても目を向けるべきだ。このコストは株主サービスにおけるアウトソーシングの有無、株主数、企業の規模によっても異なるが、一般的には年間5000円から1万円程度かかるとされている。内訳には株主通信の郵送、総会の開催、配当金の振込手数料管理、法令順守のための書類作成などが含まれる。従って株価が安く、株主数が多いほどコスト負担は大きい。
近年では1株から投資ができるサービスも登場しており、そのような投資家も議決権や配当金を受ける権限がある。例えばNTT株は1株159円だが、1株の株主はNTT側が負担する振り込み手数料だけで“赤字”になるわけだ。
このように、安易な投資単位の引き下げは管理コストの増加や経営の効率低下、株価の不安定化といった複合的な要因で企業の業績に悪影響を及ぼす可能性があるといえよう。
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