製造業のグローバル化が加速する中、アジア市場では中国企業の台頭が目覚ましい。日本企業は長年培ってきた技術力を強みに持つものの、急速な変化への対応に苦慮している。
日立製作所の阪本弘輝さん(デジタルシステム&サービス営業統括本部 デジタルマーケティング統括本部)は、こうしたグローバルな製造業の現場に身を置く一人だ。
同社には社内から推薦された一部の人材が海外研修生として選ばれ、海外に派遣される制度がある。阪本さんを含め将来有望な若手社員4人が、2024年3月から1年間タイに在住している。
取材時点で赴任して約4カ月。まだ数カ月だが、阪本さんはすでに日本の製造業の課題の輪郭を捉え、今後なすべきことを考え始めている。これまでのキャリアの変遷とともに、製造業の最前線で奮闘する若手社員の胸の内を聞いた。
阪本さんの製造業への興味は、中学生の頃からの「政治家になりたい」という夢に端を発する。地元や国をより良くするために何ができるかを模索する中で、大学時代のインドネシアへの短期留学が転機となった。
この留学プログラムでASEAN地域の学生と交流した阪本さんは、雑談の中で彼らから出てきた言葉に衝撃を受けたという。
日本は遊びに行く場所であって、勉学の場所ではない──。
日本のGDPは高いにもかかわらず、学問の場としての魅力が低いと認識されていることに危機感を覚えた。だが一方で、日本のアニメや自動車産業が高く評価されていることにも気付いた。
インドネシアでは日本車のシェアが90%以上であり、その品質の高さは確かに称賛されている。こうした経験と発見から、阪本さんは日本の製造業、特に自動車産業の強みを生かすことが国の発展につながるのではないかと考えるようになった。
「帰国後、調べてみると日本の輸出品の中心が自動車を中心とした製造業であることが分かりました。テレビなどの家電製品では中国企業に負けつつあるものの、自動車や素材分野では日本企業が依然として強いポジションにあります。この強みを守り、さらに伸ばすことが重要だと考えました」と当時の思いを振り返る。
メーカーへの就職も考えたが、何かの業種に特化するよりも総合的に製造業に関わりたいと思い、2019年に日立製作所に入社した。
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